北海道の演劇界に新しい風を呼び込む「NORD」の第2回公演、きょう10月4日開幕

社会・文化

 札幌に新しい劇場が誕生したのは、2024年5月。北海道の演劇界を牽引する場所として、期待を背負ってオープンした札幌市北区のジョブキタ北八劇場がそれ。そこを舞台に、北海道の人気ボーイズユニット「NORD」が、演劇ファンの裾野を広げる新たな風を巻き起こすことになりそうだ。

 2023年6月に上演されたNORD初となる演劇公演『Error』に続き、第2回目となる演劇公演『トムとディックとハリー』が、きょう2024年10月4日にジョブキタ北八劇場で開幕。前日の3日、公開ゲネプロと初日前会見が行われ、初の海外戯曲に挑戦するメンバーの舟木健、安保卓城、島太星、瀧原光が登壇した。

(写真は、『トムとディックとハリー』ゲネプロ後囲み取材に出席した(左から)瀧原光、舟木健、島太星、安保卓城。撮影:坂井 亨輔)

 本作は、イギリスの喜劇作家レイ・クーニーと、息子のマイケル・ クーニーによる共作で、演出を手掛けるのは、同劇場の芸術監督である納谷真大。ロンドンの借家に住むトムとリンダ夫妻は、念願の養子を迎えるため、面接官の到着を待っている。そこへトムの弟であるディックや末弟のハリーがやって来て、次から次に騒動が巻き起こっていくコメディ作品。

 自らリンダ役に立候補したという舟木は、女性役は今回が初めて。心も身体も女性になりきるために、足の毛の処理や常に腰を反るように意識するなど、役作りは万全。外国人観光客をはじめ、街中の女性たちを観察したという。「リンダというかわいい姿を千秋楽まで貫き通したい」と語った。

 トムを演じた島は、「これまでコメディ作品を演じることも、観る機会も少なかった。コメディはテンポ感が大切で、ツッコミにも種類があるので、いろんなパターンを吸収するために、コメディ作品を観たり、お笑い芸人のコンビやトリオのコントの映像を観たりして学んだ」と話し、「面白いか面白くないか判断しに来てください」とアピールした。

 ディック役の瀧原は、同劇場で今年5月に上演された『あっちこっち佐藤さん』に続き、コメディ作品への出演は2度目。「コメディは、稽古では起こっていなかった予想外のことが本番になって起こる。その日の公演でしか得られないシーンが必ずあるので、それを体感するためにぜひ来てほしい」と意気込んだ。

 ハリーを演じた安保は、役作りについて「末っ子役なので、年下感を出すために声を高めに演じてみたり、セリフの語尾をかわいらしく言ったりするように心がけた。しっかりしているんだけど、しっかりしていないんじゃないかという絶妙なラインを意識しながら稽古していた」と話し、「メンバー個人の舞台経験を集結させることで、唯一無二の『トムとディックとハリー』が生まれた」と自信をにじませた。

 同劇場のオープニングに向けた説明会で納谷は、「劇場で作品を生み出すだけではなく、大切な才能が 札幌にとどまれるように、5年間をかけて札幌に舞台俳優という職業を定着させたい。その責任を担いながら、真摯に創作に向かっていきたい」と語っていた。

 NORDは現在、道内で数多くのテレビやラジオのレギュラー番組を持ち、個人で全国の舞台にも出演。積み上げてきた経験をもとに、1回目の『Error』公演よりもさらに磨かれた本公演を機に、NORDが新しい風を吹かせ、北海道演劇の裾野が広がる起爆剤となるか、注目の公演がきょう、スタートを切る。

 公演は14日(月)まで。

(写真は、公開ゲネプロ。撮影:坂井 亨輔)

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