異業種交流組織「一への会」が「2024北海道ニューフロンティア経営セミナー」開催

経済総合

 北海道の異業種交流組織「一への会」は2024年9月17日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌2階エミネンスホールで、「2024北海道ニューフロンティア経営セミナー」を開催した。毎年この時期に開催しているもので、例年通り約1000人が参加した。今回のテーマは、「挑戦し続ける経営戦略とは!」で、ツムラ社長CEOの加藤照和氏、フリーキャスター・事業創造大学院大学客員教授の伊藤聡子氏、学校法人田中学園理事長・NHKプロ野球解説者の田中賢介氏がそれぞれ講演した。(写真は、挨拶する一への会・水戸康智会長)

 冒頭、「一への会」の水戸康智会長(モエホールディングス社長兼CEO)が登壇。水戸会長は、「北海道の経済が良くなっていく予感はあるものの、足元を見ると人口減少、物価高騰など先行き不安な要素が多く、課題が解決されずに山積している。閉塞感、不安感の中で経営や生活している人が、多いのが実態ではないか。私たち世代が、どうやって次の世代に北海道を引き継いでいくのか、この閉塞感を突き破る挑戦が求められている。今回のセミナーで、挑戦の機会ときっかけを掴んでいただきたい」と挨拶した。

(写真は、ツムラ社長CEOの加藤照和氏)

 続いて講演に移り、ツムラの加藤氏が「天地自然の理法に順う理念経営~ツムラアカデミーによる人的資本形成~」と題して講演。加藤氏は、「理念経営の浸透には10年かかる。動き始めて最初はなかなか変わらないが、繰り返し実践していくうちに、段々と腹落ちしていきながら浸透していく。経営側に粘り強さがないと浸透していかない」と話したうえで、「重要なことは、我々の会社は創業の時から何のために存在しているか、どういう価値で社会を良くしていくのか、どういうことがお客さまや患者、ステークホルダーから期待されているのか、という本質を考えていくこと。自己の実現、自己の成長と会社のベクトルが同じ方向を向き、自分自身も成長でき、幸せになることが実感できるところに、理念を落とし込んでいけるかどうかが大事だ」と理念経営のポイントを説いた。

(写真は、フリーキャスター・事業創造大学院大学客員教授の伊藤聡子氏)

 続いて、伊藤氏が「地域から日本を変える!~地域をイキイキと輝かせるヒント~」と題して講演。伊藤氏は、「多くの企業は、結果からモノを見るため、うまくいかないとどこが悪いのか、と犯人探しを始める。そうすると、そこで働く人たちとの関係が悪くなって、やる気がなくなり、そのことが行動に表れてまた結果が悪くなるという負のスパイラルに入る。しかし、コミュニケーションを取って、お互いの関係を良くしておくという関係構築から入っていくと、『そんな考え方もあるのか』とプラス思考になり、それが行動に表れて、結果に表れる正のスパイラルになる。多様性を確保してコミュニケーションを取ることは、プラスになる。他の会社、自治体、金融機関や市民を巻き込んで課題解決の領域を、スピーディーに広げていくことが成長のチャンスになる」と話した。

 続けて、「三方良し(売り手と買い手と社会に貢献する経営のことで近江商人の経営哲学)に、サプライチェーン全体として良いのか、地球環境に良いのか、未来に良いのか、という六方良しの考え方で経営をしなければならない。六方良しの経営は、地域にこそチャンスがある。特に北海道は、素晴らしい自然資源があり、ポテンシャルが高い。皆さんが新しい日本をつくるんだという気概で頑張ってほしい」と述べた。

(写真は、学校法人田中学園理事長・NHKプロ野球解説者の田中賢介氏)

 田中氏は、「田中学園流マネジメント」と題して講演。田中氏は、「プロ野球選手時代や田中学園の設立など、さまざまな場所で、さまざまな人たちと一緒に働いてきたが、マネジメントとは何かと考えると、自分自身だと改めて実感している。私は今、多くの職員や先生を雇用している。雇用しているのは私だが、職員や先生たちは、私を選んで働いてくれている。選ばれるリーダーにならなかったら、マネジメントも何もできない。選ばれるリーダーであり続けることが、その人たちの雇用を守ることだし、組織を強くしたり、大きくしたりすることだ」と語った。

 さらに、「自分自身、誰々が悪いとか、あの人のこういうところがだめだ、と思ったりするが、その人の力を引き出せないのは、自分に責任があるから。自分が、マネジメントの基礎だと思いながら日々自分なりに努力している。これまでも無謀な挑戦をしてきたが、今、自分としてはすごくやりがいもあるし、楽しい。これからも沢山の挑戦をして、新しい自分に出会いながら、選ばれ続けるリーダーでありたいと思っている」と話した。

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