イオン、ツルハHD連結子会社化で見せた鶴羽創業家への配慮

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 ツルハホールディングス(以下ツルハHD、本社・札幌市東区)とイオン(同・千葉市美浜区)、ウエルシアホールディングス(以下、ウエルシアHD、同・東京都千代田区)は2024年2月28日、経営統合の協議を開始することで合意した。日本最大のドラッグストア連合体を創成し、競争力の維持、アジアNo.1のグローバル企業への成長を目指すとともに、働く従業員の成長機会を創出することを目指し、資本業務提携を締結することを決定した。(写真は、札幌市東区にあるツルハHD本社)

 イオンは、オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下オアシス)が運営するファンドからツルハHDの発行済株式13・6%を1023億円で取得、イオンが従前から保有するツルハHD株式と合わせると持ち株比率は27・2%となり、イオンはツルハHDを持ち分法適用関連会社とする。次にツルハHDは、ウエルシアHDを完全子会社とする、株式交換による経営統合を行う。そのうえで、イオンはツルハHDの株式を51%未満となる範囲で追加取得、2027年12月末までにイオンがツルハHDを連結子会社にする。

 ツルハHDの売上高は9700億7900万円、純利益252億5800万円(2023年5月期)でドラッグストア業界2位。ウエルシアHDの売上高は1兆1442億7800万円、純利益270億3000万円(2023年2月期)で業界1位。業界の1位と2位の経営統合は、2位が1位をのみ込む形の経営統合となる。

 一般的に想定されるのは、1位のウエルシアHDが2位のツルハHDを経営統合して子会社化する形だ。イオンはウエルシアHDの50・54%の株式を保有しており、連結子会社となっている。イオンがツルハHD株式をオアシスから取得した後に、ウエルシアHDがツルハHDを経営統合するスキームもあったのではないか。

 かねてから、ツルハHDとイオンは、経営に対する考え方の違いがあったとされる。イオンが資本の論理による連結子会社化に突き進めば、ツルハHDの抵抗感は大きい。そこで、イオンは、ツルハHDを親会社にしてウエルシアHDを完全子会社にする奇策で、創業家の意向を尊重したようだ。「ツルハ」の名は当面残ることになるが、イオンの連結子会社化によって、本社移転や役員交代も行われていくことだろう。ツルハ創業家が保有する8%程度の株式の希薄化も避けられない。1929年に旭川市でスタートした鶴羽薬師堂がツルハHDのルーツ。それから95年、イオンの連結子会社化への選択は、ツルハHDの大転換となる。

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