買い物困難地域のスーパー存続モデルケース、置戸町とホクレン商事が改修費折半

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 人口約2600人の常呂郡置戸町で唯一の食品スーパーマーケット「エーコープおけと店」(字置戸46)が、2023年12月14日にリニューアルオープンした。町と同スーパーを運営するホクレン商事(本社・札幌市北区)がリニューアル費用を折半、官民連携で店舗を存続させた。買い物困難地域の店舗存続のモデルケースとなりそう。(写真は、2023年12月14日にリニューアルオープンした「エーコープおけと店」=ホクレン商事提供、以下同じ)
(写真は、冷蔵・冷凍ケースを更新した「エーコープおけと店」)

「エーコープおけと店」は、30年前にオープンした約150坪の店舗。当初は地元農協が運営していたが、店舗事業の移管で、20数年前からホクレン商事が運営を担うようになった。オープン以来、一度もリニューアルを行っていなかったが、冷蔵・冷凍ケースの更新時期を迎え、約5000万円の費用捻出が課題となっていた。

(写真は、リニューアルをした「エーコープおけと店」の店内)

 町で唯一のスーパーのため、ホクレン商事は存続を模索したものの、投資を回収できないとして町と協議。その結果、リニューアル費用を町が半額の2500万円拠出することになった。町はリニューアルに制約のある紐付きの補助金ではなく、一般会計から支出することによって自由度を確保した。

(写真は、リニューアルをした「エーコープおけと店」の店内)

 冷蔵・冷凍ケ―スの設置台数を約3割減らしたうえで什器・備品を全面更新、居抜き新店に近い状態のリニューアルを行った。ホクレン商事によると、店舗が所在する自治体が、リニューアル費用を支援するケースは初めてという。設備のリニューアルに合わせてグロサリー商品や青果、精肉、水産の品揃えを増やし、バックヤードでの惣菜生産も強化した。これによって、売り上げは改修前と比べて120%で推移している。

 ホクレン商事の中里雅明常務店舗事業本部長は、「小型店リニューアルは投資回収が難しく、持続可能性を見い出せないため、閉店を決断しなければならない場合もある。今回は、町の支援によって課題を乗り越えることができた。地域の食のライフラインを守るため、他の地域でもさまざまな課題解決を探りたい」と話している。

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