2024年度に「金融経済教育推進機構」の設立が決まるなど、金融経済教育が国家戦略となる中、東京証券取引所と札幌証券取引所、日本証券業協会北海道地区協会が、「金融経済教育フォーラムin札幌」を2023年9月16日に札幌市中央区の北洋大通センターのセミナーホールで開催した。(写真は、北洋大通センター・セミナーホールで行われた「金融経済教育フォーラムin札幌」)
東証が金融経済教育に関わるフォーラムを開催するのは、今回が初めて。高校の遠隔配信授業などが進んでいる北海道で、札証、日証協道地区協会と組み、関係機関や金融機関を含めた、オール北海道の体制で取り組んだ。
フォーラム前日の9月15日には、札幌グランドホテルで「北海道金融経済関係者懇談会」も開催された。東証の川井洋毅常務執行役員や札証の小池善明理事長、北海道財務局の大久保誠局長、日本銀行札幌支店の岡本宜樹支店長、北海道大学大学院の久保田肇経済学研究院長、小樽商科大学の齋藤一朗副学長ら、官民学から26人が出席、道内の金融経済教育の取り組みなどが紹介された。
(写真は、「北海道金融経済関係者懇談会」)
翌16日に開催されたフォーラムには、大学生、社会人、リタイア世代まで幅広い層から約100人が集まった。最初に北海道財務局の大久保局長が『政府による資産所得倍増施策等の取り組み』をテーマに基調講演。続いて、日証協インストラクターの金子賢司氏が、新NISA(少額投資非課税制度)を中心に資産形成の関する講義を行った。金子氏は、「つみたてNISAでも元本割れの可能性があるが、長期投資、積立投資、分散投資によりある程度リスクを抑えることができる」と述べ、「投資の前に、資金の余裕、時間の余裕、心の余裕の三つの余裕を確認しよう」と呼びかけた。
その後、特別企画として経済ジャーナリスト(元日経記者)の後藤達也氏がラジオNIKKEIで放送している『耳で聴く後藤達也note』の公開収録が行われた。パーソナリティの八木ひとみ氏とのトークセッションでは、北大と小樽商大の投資サークルの学生も登壇、決算書の読み方や消費者物価指数、金利動向について調べる活動を紹介した。
後藤氏は、「政府は金融教育を推進しているが、どうやって教えるかが難しい。金融庁がカリキュラムをつくったりしているが、教科書がどれだけ立派でも教えるのが下手で、生徒が関心を持たなければ意味がない。先生の伝え方や学生が何に興味を持つのかなど、現場の試行錯誤の積み重ねが大事」と話した。
この日は、学習指導要領の改訂に伴って、高校教育でも資産形成に関して学ぶ必要が出てきたことを受け、教員向けの「金融経済教育ラウンドテーブルin札幌」も開催された。北海道を舞台に展開されているクリエイティブコンベンション「NoMaps」の一環として開催されたもので、資産形成の学びを教育現場でどう実践していくかについて、関係者によるパネルディスカッションが行われた。東証では、来年以降も札幌で官民学一体となったイベントを継続展開していく考え。