イオン、ツルハHD会社提案賛成で始まる“真”のドラッグストア再編

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 香港投資ファンド、オアシス・マネジメントの敵対的株主提案に直面するツルハホールディングス(HD、本社・札幌市東区)。そのツルハHDの株式を13%強保有する筆頭株主のイオン(同・千葉市美浜区)は、2023年8月10日(木)開催のツルハHD定時株主総会での議決権行使で、ツルハHDの会社提案に賛成することを決めた。(写真は、札幌市東区のツルハHD本社)

 イオンは、旧ジャスコ時代の1995年1月にツルハHD(当時はツルハ)との間で、資本業務提携を締結。スーパードラッグストア(売り場面積300坪以上のドラッグストア)の“真”のナショナルチェーンを構築することを目指し、商品開発、店舗開発、人材交流で相互に協力するとともに、資本関係を持つことにした。以降、両社は自主的な経営を尊重しながら、ハピコム(イオングループのドラッグストアチェーンで扱う一般医薬品のPB=プライベートブランド)の開発や、イオンのPBである「トップバリュ」商品の供給を通じて関係を維持してきた。

 一方で、ドラッグストア業界では、再編の必要性や有効性が広く認識され、特に大手同士の再編、地方のドラッグストア再編は避けて通れない環境になっている。イオンは、ドラッグストア業界首位のウエルシアホールディングス(HD、本社・東京都千代田区)の50%強を持つ最大株主でもあり、再編に主導的な立場にあることは明らか。

 そうした中で、イオンは、医療格差、健康格差、地域間格差の社会課題を解決するには、ドラッグストア企業の連携、協力が一層必要になるとみて、ツルハHDとの良好な関係をベースに、社会課題解決の協議を真摯に行うスタンスを決め、オアシス側が提案している会長職の廃止や社外取締役の交代、さらなる統合再編を促す株主提案には応じず、ツルハHDの提案に賛成することを決めた。イオンは、ツルハHD株を13弱所有するオアシスと敵対的な再編を仕掛けるのではなく、ツルハHDとの20年以上に及ぶ友好的関係を下地に、再編の糸口を探ることにした。

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