北海道大学病院地域健康社会研究部門と医療産学連携研究会は26日、京王プラザホテル札幌で「産学連携シンポジウム」を開催した。北大病院の医療産学連携活動をヒントに地域活性化策を議論するもので、パネルディスカッションでは、大学発ベンチャーで昨年東証マザーズに上場したジーンテクノサイエンス河南雅成社長らが産学連携の課題などを話し合った。(写真は、「地域産業活性化と産学連携」をテーマに行われたパネルディスカッション)
シンポジウムでは、北大病院地域健康社会研究部門の佐藤孝一特任教授が医療産学連携活動の報告を行い、その後北大大学院保健科学研究部門の武田直樹教授が「変形性膝関節症患者の調整インソールを使用した効果について」、同大学院歯学研究科の佐藤嘉晃准教授が「電解水の口腔内殺菌について」と題してそれぞれ基調報告。
その後、「地域産業活性化と産学連携」をテーマにパネルディスカッションが開かれた。
北大産学連携本部副本部長で同大大学院情報科学研究科の山本強教授は、「企業から見ればどうやって大学側にアプローチすれば良いのかが分かりづらいし、産学連携でいくらの費用がかかるのかも分からない場合が多い。手続きの透明化が期待できる産学連携市場のような場ができると良い」と述べ、北大の創薬技術をシーズに設立されたジーンテクノサイエンス河南社長は、「バイオ医薬品では欧米の後塵を排している。大学にはシーズがあるのにそれをインキュベートする仕組みがない」と訴えた。
大学の技術を使ってベンチャー企業が生まれても、「資金調達の道はベンチャーキャピタル(VC)が萎んでいる現在ではIPO(新規株式公開)に限られているのが現状。産業革新機構は、ディスプレーやルネサスなどへの投資だけでなく医薬・医療分野をもっと見据えるべきだ」と強調した。
また、田村新吾ワンダーワークス代表取締役は、「産学連携は方法論であって根幹は何をするのかを明確にしておくこと。そのためには地域の目標が必要で、例えば北海道を健康と美容のフロンティアの地にすると決め10年計画で動いてみるようなことが必要では」と提案していた。