北海道大学で開発された鮮度保持技術のプラチナ触媒を活用して、食品サプライチェーンのフードロス問題の解決を目指す活動を推進する「フードロス削減コンソーシアム」(会長・丸谷智保セコマ会長)は3月15日、北大FMI国際拠点多目的ホールで第2回「チャレンジ!フードロス削減アイデアコンテスト」の表彰式を開催した。(写真は、第2回フードロス削減アイデアコンテストの表彰式)
「チャレンジ!フードロス削減アイデアコンテスト」は、北海道内の高校生や高等専門学校生を対象に、プラチナ触媒による鮮度保持技術を広く活用したアイデアを募集、表彰することによってフードロス問題の解決に向けた機運を醸成、実践活動に結び付けることを目的にしている。主催は、フードロス削減コンソーシアムと公益財団法人北海道科学技術総合振興センターが支援機関を務める、チャレンジフィールド北海道。
今回は、昨年に続く2回目で札幌日本大学高校、北海道帯広農業高校、北海道静内農業高校、北海道岩見沢農業高校、北海道夕張高校の5校から8チームが、アイデアの実証研究に取り組んだ。研究の成果を動画でまとめたものを主催者らが審査して上位3チームを決定した。
北海道知事賞には夕張高校のアイデア「青果運搬コンテナ」が選ばれた。青果の運搬用コンテナにプラチナ触媒を取り付けて、輸送中の青果の腐敗を防ぎ、長距離輸送の実現を目的としたもの。実験では、夕張メロンと同じくらいのエチレンガス(自ら熟成を促す植物ホルモンの一つ)を放出するリンゴとホウレンソウを箱の中に隔離して入れ、プラチナ触媒の効果を低温環境、常温環境で2週間観察。そのことによって、最適な触媒の量を導き出した。次年度には、実際にメロン輸送箱にプラチナ触媒を取り付けて輸送実験をすることにしている。
リモートで出席した夕張高校の生徒に、土屋俊亮副知事が表彰状を読み上げた。土屋氏は、「夕張特産のメロンに今年チャレンジされるそうですが、夕張メロンは日持ちが短いのがウイークポイントと言わています。プラチナ触媒を使った効果がどう出るのか楽しみにしています」と話した。
審査委員長賞には、岩見沢農高農業科学科2年野菜班の「プラチナ触媒を用いた農産物の収穫時期調整に関わる調査」、チャレンジフィールド北海道賞には、静内農高草花研究班の「プラチナ触媒が三石特産の花き『デルフィニウム』の出荷前貯蔵に及ぼす影響」がそれぞれ選ばれた。
入賞した3高のチームには、記念の楯が贈られた。この楯は、道産白樺の間伐材と再生紙を組み合わせた環境負荷の少ない合板を使用したもので、滝澤ベニヤ(本社・芦別市)が制作した。2023年度の第3回「チャレンジ!フードロス削減アイデアコンテスト」は、例年よりも早く4月3日から公募を開始、公募期間を長くすることで、より多くの高校、高等専門学校からアイデアを募集する。