「北方ジャーナル」2023年3月号が今日15日から書店やセイコーマートの店頭に並んでいる。今月のトップは道内最大メディアの内情に斬り込んだ「常務急逝の道新 “崩壊元年”の幕開け」。「80周年」に極まったかに見えた迷走は、年明け以降も収拾のつく兆しがない。1月中旬に伝わった役員の訃報をめぐっては早くから自殺説が囁かれ、内外に複数の怪文書が出回った。現場では若手社員の退職が相継ぎ、4月人事の“内々示”が延期される事態に。裁判になった情報漏洩事件や主催文学賞の盗作疑惑などの問題も残る今、北海道新聞(札幌市中央区、宮口宏夫社長)はどこへ向かおうとしているのか──。(画像は北方ジャーナル3月号の表紙)
札幌市厚別区の野幌森林公園にある巨大なモニュメント・北海道百年記念塔の行方にも注目だ。老朽化による部材落下の危険性や維持管理費が多額に及ぶなどの理由から北海道は2019年に解体を決定。一方、維持存続を求める市民団体などは、それを覆そうとこれまでさまざまな抗議活動を展開してきた。22年10月には道や鈴木直道知事を相手取り解体差し止めを求める住民訴訟を札幌地裁に提起。この動きと連動するクラウドファンディングでは、23年1月までの募集期間で目標額の3倍強となる1045万円(支援者数1400人)が全国から集まった。その第2回口頭弁論の前日、1月23日には塔存続を訴える大規模な活動を展開したが、奇しくもその日、記念塔を解体する重機が唸りをあげて動き始めた。
本誌独占の道警不祥事検証シリーズもお見逃しなく。昨年処分があった地元警察の不祥事で、深刻な性犯罪が疑われる事案が報道発表を免がれていたことがわかった。警察は未発表の理由をあきらかにしておらず、事件の経緯も公表していないが、取材によればその犯罪で被害を受けたのは加害者と職場を同じくする警察官の親族だったという。時期を同じくして伝わった別のわいせつ事件の動きと併せ、組織的な隠蔽が疑われる警察不祥事の実態を報告する。
今回ほど盛り上がりに欠ける道知事選もなかなかない──。2021年の衆院選でれいわ新選組から比例北海道ブロックで出馬した過去を持つ岩見沢市の建設設備業経営・門別芳夫(新人・無所属)の立候補表明からほぼ2カ月。与党が推す現職の鈴木直道(無所属)が1月15日に再選立起を、2月4日には立憲民主党の元衆議・池田真紀(新人)が無所属での出馬を決め、3月23日告示、4月9日投開票の北海道知事選の候補予定者がほぼ出揃った。今月号では組織同士の大きな闘いを展開していくだろう鈴木、池田両氏について触れる。
北海道日本ハムファイターズの新本拠地・エスコンフィールドHOKKAIDOを中核とする、全国注目、道民待望の北海道ボールパークFビレッジがいよいよこの3月に開業する。同施設を擁する北広島市は、これを契機に訪れる大勢の人々の活気でまちの雰囲気が大きく変わっていくことだろう。その開業目前に、同市の上野正三市長へのインタビューが実現。上野市長は現在の喜びやこれからの期待感を隠さなかったが、開業は決してゴールではなく、これから十数年をかけて真の完成を目指す長い道のりの事業であることも明かした。
このほか、北海道江差高等看護学院のパワハラ問題に関する続報、63年ぶりに持ち家着工1万戸割れとなった北海道の住宅建設環境を追った「シリーズ住宅不動産情報」、恵佑会札幌病院が取り組む、がんに対する画期的な新治療「光免疫療法」のレポートなどもオススメ。同誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル3月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンなどでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下にある同誌のバナーをクリック。
※3月号主要コンテンツ
【報道】
■地元紙・80年めの迷走〈10〉──常務急逝、若手の離職加速。創刊81年め、昏迷の幕明け
■道警不祥事から考える〈60〉──警部補の強制わいせつ、未発表処分記録では「不適切言動」扱い
■道VS市民団体 北海道百年記念塔の行方──抗議活動の最中に塔の鋼板を剥がした重機
■道知事選で自公は現職・鈴木、立憲は元衆議・池田の対決に。早くも漂うしらけムード
■告発・絶望の学府〈22〉──江差看護・パワハラ死調査、聴取対象者さらに8人特定
■医療現場で散った命〈16〉──札高裁が看護師遺族の控訴棄却、医師のパワハラ発言は否定せず
■「STOP!風車」に向け対抗策を探る小樽と仁木の住民。鍵を握る保安林の指定解除
【ニュース】
■「野良猫問題」にどう向き合うか。動物愛護の集いをニセコで開催
■札幌高検・神村新検事長が着任。「会同発言」の真偽はノーコメント
【ボールパーク特集】
◇北海道ボールパークが開業する北広島市の上野正三市長に訊く「地域と北海道の「起爆剤」に」
◇BP近くに誕生する体験型アウトドア施設、アイビックとスノーピーク、ティムコで国内初の挑戦
【企業】
●さらに便利になる北の玄関口・新千歳空港、空港駐車場の収容台数が約1350台増へ
【経済】
●シリーズ・住宅不動産情報⑤──住宅環境激変の北海道。63年ぶり持ち家着工1万戸割れ
●日本銀行・松野知之札幌支店長が講演「北海道と沖縄の景況感に大差がある理由とは何か」
【医療】
●恵佑会札幌病院・渡邉昭仁副院長に「光免疫療法」を訊く。「咽頭がんなどの患者に朗報」
【追悼】
●吉見宏・北大大学院経済学科教授を偲ぶ。偉ぶらない等身大の好漢、早すぎる死を悼む声続々
【特別寄稿】
「元の日本に戻るためコロナ対策を斬る」㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏
【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(90)──レタポス・田中理事長が“当事者の老後を支える組織”を設立へ
●戦争遺産をめぐる旅(88)──琵琶湖の湖畔に1年間だけ存在した「滋賀県海軍航空隊」の痕跡