江別市大麻北町にある旧NHK札幌放送局元野幌送信所が、解体前夜を迎えている。所有する江別市が、この建物を含めた周辺を民間に売却、建物の解体を条件としているためだ。築65年、歴史を凝縮したような円形建物が眺められるのも、あとわずかとなった。(写真は、旧NHK札幌放送局元野幌送信所)
この旧NHK札幌放送局元野幌送信所は、1957年に11月に完成し、同年12月から放送が開始された。建物から離れた場所には、高さ160mのアンテナがあって、そこからラジオの電波を発信していた。1978年に全国的にラジオの周波数が変更になり、それを機に江別市江別太に送信所が移転、元野幌送信所は役割を終えた。
江別市は、1980年にこの建物とアンテナが建っていた土地一帯を取得、建物は江別市郷土資料館文化財整理室として利用、アンテナが立っていた土地周辺は、はやぶさ運動広場として少年野球場、テニスコート、ゲートボール場が整備された。
しかし、建物の老朽化により文化財整理室は2022年度に旧角山小学校校舎に移転。少年野球場などもバックネットや本部席の老朽化が進んでいたため、2021年12月に都市と農村の交流センター「えみくる」敷地内に移転した。
市は、この建物を含む一帯の敷地約6354坪(2万969・62㎡)を建物解体条件付きの公募型プロポーザルで売却する意向で、間もなく優先事業者が決まる。2023年4月には土地所有権を民間に移転、この建物は姿を消す。直径35mのドーム屋根を持つ円形建物は、昭和の時代を色濃く残している。見納めの冬を迎えている。