根室半島を一周する道道35号線(根室半島線)。根室市街から約1時間で、北方領土が見える納沙布岬を経て一周できる。半島を左回りで走り、根室港まであと5~6㎞の場所に「HOTEL CASA NEMURO」がポツンと建っている。日本で最東端のレジャーホテル、いわゆるラブホである。(写真は、根室半島にあるに「HOTEL CASA NEMURO」)
根室半島はゆるやかな起伏が続く大地。周りには高い木がなく、北海道でも異質の景観が際立っている。納沙布岬周辺にある灯台と北方領土奪還に関する施設を除けば、ところどころに小さな漁港と漁業者の民家が点在しているだけの地域。そうした中で、国道沿いにポツンと建つ平屋のラブホは、景観の連続性から飛び出した、よそ者感を漂わせている。
このホテルが建っているところは、根室市の用途地域に指定されていない「白地地域」。建物の建設に規制のない地域のため基本的に何でも建てることができる。部屋数は8室、ガレージタイプのホテルで、部屋の中には根室港に沈む夕陽を眺めることができるという。
近くには、砦や祭祀の場所、見張り場などに利用されたチャシの一つ、コタンケシ1号、2号のチャシ跡のほか、旧日本海軍牧の内飛行場跡もある。土地の記憶が残る地域のそばに建つホテルには、逞しさも感じられる。
毎年12月、根室に通うようになって10年、その機会に根室半島1周をするようになって10年、窓の外に見える最東端のホテルは今年も冬日和の中にあった。
※2022年12月24日記事一部修正しました。国道35号線→道道35号線