コープさっぽろとNEDOが七飯町にバイオガスプラント、牛糞尿、食品残渣、廃食油原料に地域循環モデル構築へ10日から操業

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 コープさっぽろ(本部・札幌市)の関連会社、エネコープ(本社・札幌市)はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同でバイオガスを低コストで高効率に製造する技術を確立、北海道七飯町に試験プラントを完成させた。投資額は約5億円。NEDOが3分の2、コープが3分の1を負担した。きょう4日に竣工式を行い、10日から操業を開始する。(写真は、バイオガスプラントの竣工発表をするコープさっぽろ大見英明理事長=中央とエネコープの野坂卓見社長=右)
 

 この試験プラントの原料になるのは、牛糞尿と食品残渣、グリセンリンで牛糞尿は七飯町周辺の酪農家3戸から集め、食品残渣はコープさっぽろとグループの魚長が函館で展開する約30店舗から毎日出るものを、グリセリンはコープの宅配車燃料に使っている廃食油から生成するBDF(バイオディーゼル)製造の過程でてくるものを使っている。
 
 牛糞尿に食品残渣とグリセリンを混ぜることで従来に比べて20%増のバイオガス製造が可能で、空気ではなく純酸素を用いる生物脱硫をすることで、コスト増の要因になっていた脱硫剤を従来比70%削減できるという。基本技術はエネコープと酪農学園大学が確立した。得られたメタンガスは発電用や加熱用のエネルギー源となるほか、副産物の液肥は牧草地や畑作地の肥料として使える。
 
 プラントの処理能力は、牛糞尿が1日11~12t、食品残渣が同2~3tでバイオガスの生産量は同680㎥。製造したバイオガスのうち400㎥を北海道ガスに供給し成分分析や精製法など実用化に向けた試験を行う。残りはこのプラントのエネルギー源として使う。
 
 牛糞尿を利用したバイオガスプラントは道内の自治体などでも建設しているが、コープさっぽろのように食品スーパーの店舗から出る食品残渣を使うケースは今回が初めて。NEDOとエネコープは、今後1年間かけて実用化に向けてコスト見通しなどを検証していく。
 
 コープさっぽろの大見英明理事長は、「食品残渣や牛糞尿、廃食油から出るグリセリンといったこれまでは捨てられていた原料を再資源化する道が開けた。バイオガスは食品スーパー店舗の熱源として使っていきたい」と語った。当面、函館地区でこの循環モデルの構築を目指すが、将来的には道内7ヵ所でこうしたプラントを核にした地域循環システムを作りたい考え。

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