旭川平和通3条買物公園にあるファッションビル「オクノ」が業務を縮小し、2022年10月1日から3フロア・10店舗の営業体制になる。同ビルを運営するオクノの石原嘉孝社長は「3~4年後を見据え、新たなスタートを切りたい」と語る。(写真は、平和通買物公園にあるファッションビル「オクノ」)
ファッションビル「オクノ」に入居しているテナントは現在、24店舗。5月26日付北海道新聞・朝刊31面下段には、『オクノは10月1日から3フロア10店舗の営業です。1階アパレル6店と宮越屋珈琲、5階大雪カムイミンタラDMO、ぺらぺらKIDS、6階旭川公園通り矯正歯科』という内容の広告が掲載された。石原社長は「業務を凝縮して無駄を省き、次の時代に向けてリモデルの準備をする」と話す。
竣工は、買物公園がオープンした翌年の1973年、「そうごデパート旭川店」として開業。地上8階、地下2階建て、1980年に現在のビル名になった。道北初のファッションビルとして、1990年代の最盛期には売上高45億円台で推移していたが、2000年代に入ると、ファストファッションの台頭やインターネット通販の拡大、「イオンモール旭川西」や「イオンモール旭川駅前」の出店の影響を受け、最近はコロナ禍による外出自粛により来店客が大幅に減少していた。このため、テナントの撤退も相次いでいた。2021年の売上高は最盛期の6分の1、7億8000万円まで落ち込んでいた。
石原社長は「旭川のファッションビルとしての役割は終えたと思う。アパレル業界は、北海道では札幌の店舗だけで良いと考えている。今後は、旭川にとって、なくてはならない価値のある店舗をどれだけ残していくことができるかを突き詰めて考えていきたい。そのメドを3~4年先とみており、2025~26年頃には閉店して次のステップに進みたい」と話している。
石原社長は、故坂東徹氏が旭川市長4期目の立候補をした1990年の市長選で、道新全面広告を使った市長候補を募集した「旭川経済人会議」の代表を務めたことがある。また、まちづくりにも一家言を持ち、「旭川買物公園」の活性化について提言してきた実績もある。今年6月に50周年を迎えた平和通買物公園では、大型ビルのスクラップ&ビルドが進んでいる。2016年に閉店した「西武旭川」A館跡には2021年9月に「ツルハ中央ビル」が竣工、「ホテルアマネク旭川駅前」や「ツルハドラッグ旭川中央店」、「壺屋ときの杜買物公園店」がオープン。2014年に閉店したファッションビル「エクス」跡では大和ハウス工業(本社・大阪市北区)が2024年末竣工を目指して、旭川初の25階建てタワーマンションの建設を進めている。「マルカツデパート」も年内閉館、解体が予定されている。そんな中、新生に向け業務縮小に踏み切る「オクノ」、石原社長はどんな新機軸を見せてくれるだろう。