北海道銀行(本店・札幌市中央区)と伊達信用金庫(同・伊達市)、金融機関の業務共同化システムを手掛けているSocioFuture(本社・東京都港区)の3者は、11月7日(月)から地域金融の新たな連携スキームを開始する。マイナス金利や人口減少下でも、地域金融機関の持続的経営を進めるための金融サービスの在り方を探る。(写真は、道銀と伊達信金、SocioFutureの3者による地域金融の新たな連携スキーム調印式。左からSocioFutureの菅原彰彦社長、伊達信金の舘崎雄二理事長、道銀の兼間祐二頭取)
道銀は、人口減が進む自治体での支店展開を抜本的に見直そうとしている。これまで段階的に法人業務を近隣の拠点店舗に移し、支店行員を減らすなどして対応してきたが、マイナス金利やさらなる人口減に伴う取引先等事業所減でこれまで以上の対応が不可欠として地域の信金と連携した新たな地域金融スキーム構築に舵を切った。
具体的には、道銀洞爺支店(虻田郡洞爺湖町本町175番地1)を伊達支店(伊達市鹿島町13番地3)内に店舗内店舗の形で移転させることに伴い、伊達信金虻田支店(洞爺湖町旭町5番地16)に道銀ATM(現金自動預け払い機)と共同窓口を設置する。また、道銀と伊達信金は、ATMを相互に無料で使えるようにする。
道銀洞爺支店は1954年に開設され、2003年3月には有珠山噴火も経験してきた店舗。法人業務は既に伊達支店に移管しており、現在は支店長など4人で運営している。今回のスキームにより現地での67年間の営業を終了する。伊達信金虻田支店内に設ける共同窓口は、道銀の個人、個人事業主の取引が対象で、住所変更や氏名変更、印鑑変更、キャッシュカード・通帳の再発行、口座解約などの手続きをテレビ通話やタブレット入力でできるようにする。また、店内に道銀のATMも設置、従来と変わらない利便性を提供する。道銀はこれによって洞爺支店の固定費が大幅に減少、伊達信金はATM設置料や事務負担に応じた手数料収入が見込める。
こうした連携を可能にしたのはSocioFutureのシステム。道銀と伊達信金は、このシステムを利用することで新スキームを実現させる。また、道銀は、「虻田郵便局」内に設置されているゆうちょATMで、道銀カードを使った現金の預け払いが手数料無料で使えるようにもする。
5月24日に道銀本店で行われた新たなスキームの調印式には、伊達信金の舘崎雄二理事長、SocioFutureの菅原彰彦社長、道銀の兼間祐二頭取が出席して協定書に署名した。伊達信金の舘崎理事長は、「道銀の受け皿となり地域の利便性維持と向上を図っていきたい。業態を超えた垂直型の取り組みを続けることによって、地域が発展するように頑張りたい」と話した。
SocioFutureの菅原社長は、「当社が有する金融機関共同化の知見、ノウハウを活用することによって地域の活性化、利便性の維持に貢献できればうれしい」と述べた。道銀の兼間頭取は、「地域金融機関を取り巻く経営環境はますます厳しさを増している。地域で金融機能を維持していくためには、業態を越えて信金、信用組合、ゆうちょ銀行との提携が必要。伊達信金をはじめ他の金融機関と、今後も地域金融を維持する議論を深めていきたい」と話した。
このスキームは、8月から寿都郡寿都町で道銀と北海道信用金庫(同・札幌市中央区)が開始する手法と同じ。業態の垣根を越えた地域金融の在り方として、今後も人口減に悩む地域の支店でこのスキームが使われそうだ。