マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の11回目は、札幌市中央区北4条東7丁目の「サッポロ流通システム札幌倉庫」。(写真は、解体工事が進んでいる「サッポロ流通システム札幌倉庫」)
「サッポロ流通システム札幌倉庫」は、サッポロ流通システム(本社・東京都渋谷区)が所有していた倉庫で、東8丁目篠路通のアンダーパス東側にある。JR函館本線のすぐ近くにあって、敷地は1000坪を超える広さ。倉庫は東7丁目と東8丁目に跨るように建っており、東側には札幌厚生病院が建っているため、この界隈は袋小路のようになっている。
この建物は、なぜか少し斜め向きに建っている。東8丁目篠路通は、国道12号線の交差点から北3条通の交差点まで斜めになっており、その延長線上にこの倉庫があることには、歴史的な背景が隠されているようだ。
サッポロ流通システムは現在、サッポロホールディングス(同・同)のグループ会社、サッポログループ物流(同・同)の子会社。札幌日星社やサッポロビール運送社がルーツだが、合併、再編を繰り返して2012年に現在の組織形態になった。
「サッポロ流通システム札幌倉庫」の解体工事は、2021年9月1日から始まった。現在、建物はほぼなくなり、空が遠くまで望めるようになっている。解体工事は、丸真藤田工務店(札幌市東区)が行っており、今年11月30日まで続く。
土地は、今年6月に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(本社・横浜市中区)が取得した。函館本線北側では、北8条通と北3条通を結ぶ苗穂駅連絡通の拡幅・新設工事が予定されており、「サッポロ流通システム札幌倉庫」跡地を含めて、函館本線の北側と南側が大きく変貌していきそうだ。