札幌の石山軟石で作られた倉庫のひとつがまた消えようとしている。札幌市中央区北2条東11丁目のレストラン「のや」として利用されてきた元玉ねぎ倉庫。路地を入った目立たない場所にあるこの倉庫、高層マンションが日々高さを増す中で旧き札幌の面影を漂わせている。(写真は、閉店したレストラン「のや」が利用していた軟石倉庫と苗穂駅南口で建設中の高層マンション)
軟石倉庫は、JR苗穂駅南口で進んでいる「北3東11市街地再開発」の北3条通を挟んだ向かい側の路地裏にある。再開発地区で高層ツインタワーマンションの建設が進む一方で、この地区には新旧住宅や工場などが建ち並ぶ。
レストラン「のや」は、100年になろうとするこの倉庫を利用して1998年に開業。今年が23年目だったが、6月20日をもって営業を終了した。倉庫のある土地建物は長く個人の所有だったが、2019年5月に不動産会社の藤邦(トーホー、札幌市西区)が取得。同社は賃貸マンションなどを展開する不動産会社。「のや」閉店後の跡地利用については、「まだ決まっていない」(佐藤紘英代表取締役)と話す。なお、「のや」は、新たに東区にある倉庫を利用して営業を再開する予定だという。
この倉庫を含めた周辺一帯は、目と鼻の先で進められている再開発事業の波が及びそうな状況だ。高層マンションに明かりが灯る頃、この倉庫は風雪に耐えた姿を残しているか。