コープさっぽろは、大雪山旭岳の水資源を保全・活用するために地元東川町など3者と共同で大雪水資源保全センターを設立、7月からミネラルウォーターのボトリング工場を建設する。災害時の危機対応として水の供給基地とするほか、通常時にはコープさっぽろでの店頭販売や本州メーカーのOEM供給を行う。工場の稼動は12月で生産規模は年産1300万本(2㍑換算)。また、2㍑当たり0・5円を基金として拠出し環境保全の資金にする。(写真は、「大雪旭岳源水」のミネラルウェーターと工場の完成予想図)
大雪旭岳の天然水は、これまで東川町と東川町農業協同組合が「大雪旭岳源水」のブランドで販売してきた。2008年に環境省から平成の水百選に選ばれたほか、ろ過、加熱殺菌以外の物理的、化学的処理を行っていないナチュラルミネラルウォーターとして知られる。
コープさっぽろは、東川町農協を通じて地元産のコメや野菜の販売を行っており繋がりが深い。今回、東川町の水資源を保全すると共にコープさっぽろの店舗網を活用することで東川町のブランド力を高め、地元農産物の販売促進にも結び付けようと新会社設立で合意した。
新会社は「大雪水資源保全センター」の名称で資本金は5000万円。コープさっぽろが4000万円、東川町と東川町農協が各400万円、水資源保全に取り組むビルメンテナンス会社の東洋実業が200万円をそれぞれ出資、社長にはコープさっぽろの吉田洋一執行役員が就任した。15人の雇用を予定している。
工場は、源泉に近い国立公園に隣接した町有地約2000坪を取得して建設する。建築面積589坪、延床面積546坪で投資額は7億円。投資額が嵩むのは、国立公園に近いため防火対策や排水処理を徹底するほか、0・01ミクロンのウイルスまで除去できるUF膜(限外ろ過膜)を採用するため。
生産能力は、日産(8時間換算)で2㍑6本詰め8400ケース、500m㍑24本詰め2100ケース。価格はオープン。「大雪旭岳源水」のブラントとコープさっぽろのPB(プライベートブランド)で店頭販売する。また、関東圏の飲料メーカーや流通企業向けに茂OEM(相手先ブランド)供給する。出荷比率は道内7、道外3となる見込み。
出荷時点で2㍑換算0・5円を基金として積み上げ、年間800万円程度を東川町の森林や水資源の環境保全に役立てる。
東川町の松岡市郎町長は、「大雪山には1億9000万㌧の雪が降ることを北大低温研の故中谷宇一郎教授が調べているが、この雪が天然ミネラル水の元になっている。大雪山の恵みを道内外の人に知ってもらいたい」と語っている。