ニトリホールディングス(HD、東京本社・東京都北区、札幌本社・札幌市北区)とDCMホールディングス(HD、本社・東京都品川区)による島忠(同・さいたま市中央区)のTOB(株式公開買い付け)合戦になるのだろうか。島忠の買収を巡り、ニトリHDがTOBを検討していることが明らかになった。DCMHDが友好的に島忠を買収することで進んでいたTOBに、ニトリが待ったをかけた格好。DCMの中核はDCMホーマック(同・札幌市厚別区)。ニトリとDCMホーマックはともに北海道を母体にする企業で今や全国を席巻する。その2社が闘うことになるのか。(写真は、ニトリHDの札幌本社が入っている「ニトリ麻生店」)
ニトリとDCMホーマック。北海道民ならどちらも馴染み深い企業だ。ニトリは家具インテリアを中心に成長し、DCMホーマックは金物店をベースに発展してきた。派手でイケイケのニトリ、地味で堅実なDCMホーマックと両社のカラーは正反対と言える。同じ北海道をルーツとする企業でありながら、滲み出てくる企業のテイストが正反対というのは、経営者の個性の違いが端的に表れているからだ。
今や日本を代表する家具インテリア量販店になったニトリだが、意外にもM&A(企業の買収合併)についての経験は少ない。2000年に子会社化したマルミツ(上川郡東川町)がある程度で、他に目立ったM&Aは見当たらない。一方、DCMホーマックは03年に同業のカーマ(本社・愛知県刈谷市)とダイキ(同・愛媛県松山市)と資本業務提携、共同仕入れ会社を設立してその後経営統合、現在のDCMHDに至っている。この間にも、くろがねや(同・山梨県甲府市)、サンワドー(同・青森県青森市)を経営統合しており、資本市場を利用したM&Aでは蓄積がある。
家具インテリア量販店とホームセンターの違いは年々薄れている。ホームセンターでも家具インテリアを扱っておりその比率は年々高まっている。島忠は家具メーカーとしてスタート、現在も家具・ホームセンターを融合した業態で一般的なホームセンターとしてはやや異色と言えそう。
ニトリHDとDCMHDが島忠を巡るTOB合戦をすることになれば、北海道ルーツの2社が資本市場で真正面対決をすることになる。日本経済の表舞台に立つ2社の動きは、まさに「北海道の時代」を予感させる。