北洋銀行頭取を6年間務めた横内龍三氏(68)が、4月から同行のCEO(最高経営責任者)的な役割を持つ代表取締役会長に就任するとともに北海道経済同友会代表幹事に就任するなど対外的な活動も積極的に始めることになった。頭取と会長の役割分担や経済界活動、さらに6年間の頭取時代の総括などについて横内会長の胸の内をインタビュー、3回連載で肉声を紹介する。(写真は、横内龍三会長)
――4月1日から会長に就任されましたが、頭取の役割分担は?
横内 役割の分担というほどではないが、銀行の業務執行は頭取が最終責任を持ち、会長は取締役会の議長として取締役会運営の一番の要になります。取締役会は業務執行の在り方、組織としての最終意思決定を行う機関。取締役会の議長として要になってくるので、行内執行の基本となる融資委員会やリスク管理委員会などの会議には出席します。出席して話を聞いているだけでなくて意見があれば意見を言う立場なので、銀行業務については頭取時代と同じ関心を持ち続けないといけない。
――北海道経済同友会の代表幹事にも就任されましたが、本格的な経済界デビューですね。
横内 道経済同友会は代表幹事が2人いて、私は実質的には副代表幹事です。同友会を代表するときには坂本眞一代表幹事(JR北海道相談役)が動きますから、私はその女房役みたいなものです。今年は同友会の活動が円滑に行くよう組織運営の調整をしっかり行っていきたい。事務局長だけで手が回らないことは、私が一緒になって調整したい。
――事務局のある北一条ビルは建て替えが予定されていますが、移転の計画は?
横内 秋ころまでには事務局を移転します。移転場所は元札幌銀行の本店ビルで今は北洋銀行札幌営業部が入っているビルに空き室があるので、そこに移転するのが第一候補になっています。
――頭取時代に就いていたJR北海道社外監査役などは引き続き務めるのでしょうか。
横内 JR北海道監査役は、まだ任期が残っているので、続けることになるでしょう。日本生命の札幌地区総代や公安委員も引き続き務めることになります。公安委員は業界代表が務めるのは相応しくないとして、坂本(眞一)さんが社団法人北海道観光振興機構の会長に就任されたときに引き継いだものです。今回、同友会代表監事に就任しましたが、同友会は個人の立場で活動する団体で政治活動は一切やらない組織なので、公安委員として差し支えないということで引き続き任期中は務めることになります。
――頭取時代の6年間をご自身で総括してみてください。
横内 北洋銀行は北海道拓殖銀行の資産と人を引き継いで急激に組織が大きくなっていたし、札幌銀行とのグループ化、そして合併とお客様、取引先も増えていたのでそれに合わせて組織と人の体制を作りこんでいくとともに効率化も進めなければいけない時期だった。
拓銀を引き継ぐ以前の北洋銀は、比較的小さな組織だったので武井正直頭取(当時)のトップタヴンで組織が動いたが、組織がこれだけ大きくなると頭取1人では掌握できない。トップダウンが必要なときもあるが、ボトムアップやミドルアップ、ミドルダウンも必要。私は高向さん(現相談役)が地固めした後を受けて、行員の意識改革と組織改革の2つを最優先に6年間やってきました。
意識改革ということでは、かなり行内には議論する風土が芽生えてきたと思う。私が北洋銀の副頭取として経営に参画したころ、取締役会での議論は殆どなかったですからね。
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横内頭取在任6年の半ばにはリーマンショックが起き、北洋銀は多額の有価証券損失を出すことになる。次回は、リーマンショックの対応を中心に当時の心境などを紹介する。