風雪に耐えた札幌軟石の蔵、札幌北8西1再開発で解体・一部保存へ

社会・文化

 JR札幌駅北口の北8西1地区約2haで始まった市街地再開発事業。マンションやホテル、商業施設などの建設に向け今年6月ころから既存建物の解体が進められるが、敷地内には大正時代に建設された札幌軟石を使った蔵がある。その蔵はどうなるのか。(写真は、札幌市北区北8条西1丁目にある大正年間に建てられた札幌軟石の蔵)

 北8西1の札幌第一合同庁舎の東向かいにあるのが、時代を感じさせる札幌軟石の蔵。石山地区で採石された軟石を使った蔵で、建てられたのは大正年間。旧丸田質店の蔵として利用されていたもので、蔵に繋がる母屋も一度消失した後、昭和5年に建て直されている。
 この蔵と母屋は今年3月末までに『石の蔵ぎゃらりぃ はやし』という名前で、個展用のギャラリーや喫茶店として実際に使用されていた。現在は、札幌駅北口8・1地区市街地再開発組合の所有になっており、間もなく解体されることになっている。

 しかし、北8西1地区は札幌の発展を支えた創成川沿いにあり、創成川の源流ともいえる大友堀(二宮尊徳の門下生で幕府の役人だった大友亀太郎が掘削した水路)にも近い。こうした歴史的な役割を担ってきた地区でもあることから組合は解体後、建設する新しい建物内に蔵の一部を使ったモニュメントとして残す方向。大正、昭和、平成、令和の時代を生き抜いてきた蔵はその姿を消すが、風雪に耐えた軟石の一部がこの場所で余生を送ることになりそう。

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