数年前まで常識的に行われていたコンビニエンスストアのガチンコ出店。競争相手の店舗の真正面に新店を出してお客を奪い合う究極の出店戦略だったが、ここにきてガチンコ出店の勝敗が徐々に顕在化してきた。(写真は、閉店した「ローソン札幌鉄工団地店」。向かいには「セブンーイレブン札幌発寒11条店」が見える)
札幌市西区発寒12条5丁目3ー3にあった「ローソン札幌鉄工団地店」。前を通る西野屯田通沿いの仲通りを挟んだ向かいに「セブンーイレブン札幌発寒11条店」(発寒11条6丁目3ー20)が出店してきたのは7年ほど前だった。「ローソン」店舗の駐車場は10台ほどの収容台数だったが、「セブンーイレブン」店舗は30台以上も収容できた。
当時、こうしたコンビニのガンチコ出店は至る所で見られた。あのころはコンビニの勢いが途切れず、コンビニ本部はまさにイケイケ出店を繰り広げていた時代。しかし、コンビニを取り巻く環境は大きく変わった。24時間営業問題や人手不足、オーナーの高齢化、売り上げの減退ーーいくつもの要素が積み重なってコンビニは今や淘汰の時代に向かいつつある。
とりわけお客の奪い合いをしてきたガチンコ出店のコンビニはどちらかが閉店を余儀なくされる状態に。その一つが「ローソン札幌鉄工団地店」の閉店だった。閉店日は2020年1月31日。店頭には『当店は都合により閉店させていただきました。これまでのご支援、心より感謝申し上げます』と書かれた貼り紙が4枚も掲出されている。閉店理由はどうであれ、ガチンコ出店の戦いに敗れたということにほかならない。
札幌圏ではこうしたガチンコ出店の勝敗が明らかになるケースが増えている。先に報じた「セブンーイレブン石狩新港西店」(石狩市新港西1丁目706ー3)の撤退も真正面出店してきた「セイコーマート新港西1丁目店」(同721ー12)との5年弱のバトルの結果だ。
コンビニの全盛期を象徴してきたのがまさにガチンコ出店だった。勝敗の結果が徐々に顕在化してきたことは、コンビニ全盛時代が過ぎ去ったことを示しているようだ。