北海道のIR(統合型リゾート)誘致を巡って東京地検特捜部が17日、道庁に捜索に入ったもようだ。道内での先週の民間企業などに続く2回目で、IR関連資料を調べるものとみられる。IRを巡っては鈴木直道知事が断念表明をしたばかり。その背景には“事件”化しかねないキナ臭い動きがあった可能性がある。(写真は、道庁本庁舎)
鈴木知事は、11月29日の道議会でIRの道内誘致について2021年7月までの国への認定申請を見送る方針を表明した。道民の理解が十分に進んでいないことや、IR候補地の苫小牧市植苗地区は希少生物が生存する自然豊かな地域で生態調査などを行うには、認定申請に間に合わないという判断からだった。
しかし、この時点で鈴木知事の元には官邸筋から今回の特捜の動きが伝わっていた可能性が高い。苫小牧を候補地にする方向で進めていく過程で仮に事件化すれば、北海道にIR誘致の可能性がゼロになってしまう。今回、認定申請を断念すれば7~8年後とされる次回には認定申請の機会は巡ってくる。唐突とみられた鈴木知事のIR断念の裏には、こうした司法の動きと無関係ということではなさそうだ。
道庁へ捜索の前に、東京地検特捜部は自民党衆議の元秘書宅に外為法違反容疑で捜索した経緯がある。中国系企業から不透明な資金に流入があったようで、その資金が道内に流れ込んできたのかどうかの資料集めとみられる。ただ、外為違反容疑は数百万円程度とされ事件化するには少額。これは捜査の入り口ではないかという見方もある。