セイコーマートが、2日午後10時からテレビ東京系列の全国ネット「カンブリア宮殿」で紹介された。経済低迷が続く北海道でコンビニエンスストアとして成功している秘密を解き明かして紹介した1時間番組。同社の赤尾昭彦会長が出演し、ホスト役の村上龍氏とスタジオで語り合う場面では、同社の成長を支えてきた赤尾会長の経営に対する考え方に、村上氏が「コンビニの概念や枠を超えている」と評した。(写真は、カンブリア宮殿に出演した赤尾昭彦会長)
北海道を代表する全国ブランド企業として名前を挙げると、ニトリ、ツルハ、ホーマック、アインファーマシーズなどが浮かぶ。いずれの企業も本州に進出しており知名度も高い。最近では、昨年10月に北東北の食品スーパー、ユニバースと経営統合したアークスも全国企業として徐々に名前が浸透している。
セイコーマートは、茨城など一部関東圏に出店(104店)しているものの、道内に圧倒的比重があり(1030店)、北海道の地場企業として全国的な知名度では劣っている。
しかし、セイコーマートには先に名前を挙げた北海道発の全国企業にはない特徴がある。それは、今流行(はやり)の農商工連携や6次産業化に10年ほど前から取り組み、事業モデルとして成功させている点。
道民に親しまれているセイコーマートだが、ほんの10前ほどまでは全国チェーンのコンビニに比べてブランド力や商品力で後れを取っていた。
セイコーマートの輝きが増し、全国コンビニチェーンとの差が開きだしたのは、地道に手を打ってきた農商工連携や6次産業化がうまく回転し始めた4~5年前から。
昨年は顧客満足度がコンビニ業界でナンバーワンにもなった。道産食材の生産→製造→物流→販売→残渣物のリサイクルの輪は持続可能性のある事業モデルとして注目も集めている。
北海道が人口550万人を抱える多極分散型のひとつの自治体であることも、セイコーマートが地場企業として成長する原動力になっている。九州のように人口1300万人があっても7つの県に分かれていればセイコーマートの事業モデルは成功しなかったかも知れない。
「札幌圏一極集中」、「少子高齢化」、「過疎」など北海道にとってのマイナスのキーワードを逆手にとってセイコーマートは独自の事業モデルを成功させてきたことは見逃せない。
赤尾会長は番組の中でこう語っていた。
『(成功したかどうか)まだわかりません。事業はいつヒビが入るかわからない。先の心配は仕切れないほどある。変わり続けることが大事だ。良いことなんて続いたことはないと思っている』
また、『人口500万人のベースがあるうちに北海道は方向転換しなければならない』とも述べた。
北海道の産業を支える企業には洞察力、構想力、実行力、そして持久力が必要なようだ。