国の重要文化財である道庁赤れんが庁舎(札幌市中央区北3西6)が、大規模改修工事のため10月1日から3年間休館する。1968年の大規模改修以来、半世紀ぶりとなる「令和の大改修」で総工費は約78億円。3年後には歴史的空間を生かした飲食スペースや道産品販売などを設け、北海道観光の発信拠点となるように整備する。(写真は、道庁赤れんが庁舎)
赤れんが庁舎は、1888年(明治21年)に建設されたアメリカンネオバロック様式の建物で旧道庁の本庁舎として利用された。1909年(明治42年)に火災によって外壁を残して内部と屋根を焼失、1911年(明治44年)に復旧工事が完成、ドイツゴシックスタイルに変更された。
1964年(昭和39年)には道によって永久保存の方針が決定され、1968年(昭和43年)に創建当時に近い状態で復元、国の重要文化財に指定された。内部への一般開放は1984年(昭和59年)に期間限定で始まり、通年開放が始まったのは2001年(平成13年)4月から。北海道の歴史や文化が凝縮されており国内外の観光客が年間65万人以上訪れ、18年(平成30年)度には過去最高の約69万人が入館している。
道庁では、昭和の大規模改修から50年が経過し各所で劣化が激しいほか、耐震補強やエレベーター設置などユニバーサルデザインの導入も必要なため、16年(平成28年)から道民ワークショップなどを開催してリニューアルに向けた指針をまとめてきた。この基本指針に基づき、道庁は今年3月、9月30日から3年間休館して令和の大改修に取り組むことを決めていた。改修費78億円は、文化庁の補助金や各種起債、ふるさと納税など寄附金を活用する。
改修後に地下1階は開拓絵画展示ギャラリーや道民の活動スペース、1階は飲食スペースや道産品のセレクトショップ、道内各地の観光情報発信などに利用、2階は北海道の歴史・文化の展示、眺望を生かした催事スペースとする。八角塔や小屋裏など屋上バルコニーからの眺望も活用する。
管理運営は、これまで道の直営による無料開放だったが、改修後は民間事業者のノウハウを活用、料金を徴収して自立性のある施設運営とする方向。10月から3年間、工事用フェンスで囲われお馴染みの姿ともしばしのお別れとなるが、22年度には再び誇らしい姿を見せてくれるだろう。