既存の食品スーパーの近くに新たに食品スーパーが出店すれば、既存スーパーの売り上げが落ち込むのは業界の常識だが、札幌市清田区ではちょっとした異変が起きている。(写真は、5月9日に「北雄ラッキー清田店」の隣接地に出店した「卸売スーパー清田店」)
札幌市清田区2条2丁目の国道36号線沿い。ここには1977年に開店した北雄ラッキー(本社・札幌市手稲区)の「清田店」が42年間にわたり営業を続け、根強い「ラッキーファン」を抱えている。そんな老舗店舗のすぐ隣に今年5月、卸売スーパー(同・同)が「清田店」を出店した。もともとカラオケの「キャッツアイ」があった店舗跡に居抜き出店したものだが、奇しくもスーパー同士が顔を突き合わせることになった。
卸売スーパーは、業界の暴れん坊で低価格を武器に広い商圏からお客を集める。一方の北雄ラッキーは、美味しさと健康をキャッチフレーズにまさに王道を行く商売に徹する。カラーの違う2社が激突することになったが、大方の見方は卸売スーパーにお客が集まり北雄ラッキーは苦しくなるというものだった。一般的に言えば近隣に店舗ができれば既存店は15%程度売り上げを落とすのが業界の常識。
ところが、2社激突からおよそ2ヵ月、北雄ラッキーの売り上げは下がるどころか上向き傾向だという。前述したように互いに店舗のカラーは180度違う。その違いを、お客が上手に使い分けているというのだ。「卸売スーパーでカップ麺や菓子、飲料水などを買い、北雄ラッキーで惣菜など生鮮食品を買うお客が多いようだ。惣菜は以前より売り上げが伸びている」(北雄ラッキー関係者)
2社の店舗は、競合関係というより相互に補完する珍しい現象が起きている。卸売スーパーが広い商圏からお客を集め、そのお客が北雄ラッキーにも流れるという好循環(?)。その影響は、2店舗から離れた食品スーパーに出ている。