道内23信用金庫をトータルした貸出金の減少傾向が続いているが、貸出金の中身を見ていくと融資先が設備投資などに使う長期貸出金は堅調に推移している一方で、運転資金向けなどの短期貸出が急減していることが分かる。過去3年間の推移を見ると、短期貸出は2055億円減少しており、融資先中小企業の資金繰り悪化を示していると言えそうだ。
道内23信金全体の貸出金推移を見ると、2008年12月の3兆1384億円から09年12月に3兆971億円、10年12月に3兆592億円になり直近の11年10月では2兆9794億円と3兆円を割り込んだ。
08年12月から11年10月までの約3年間で貸出金は1590億円、約5%減った。
貸出金のうち設備投資などに振り向ける長期の証書貸付の推移を見ると、08年12月2兆3951億円、09年12月2兆4469億円、10年12月2兆4582億円、11年10月2兆4416億円となっており、約3年間で465億円の伸びを示している。率にすると、約2%。
では、原材料仕入れなど一時的な運転資金に使われる貸付はどうか。手形貸付は08年12月の4253億円から11年10月には3095億円に、割引手形は同819億円から同429億円に、当座貸越も同2360億円から1853億円に減少している。
約3年間のうちで、手形貸付は30%近く減少し割引手形も約半減、当座貸越は20%強の減少になっている。
短期貸出全体ではこの3年間で2055億円、27%減少。短期貸出の減少を長期貸出がカバーし全体としての貸出金減少は1590億円にとどまった。
短期貸出が減少している理由として、融資先中小企業の運転資金需要が減少していることが挙げられそう。景気低迷によって資金繰りの見通しが付きにくいために中小企業は手形発行などを手控えているものと思われる。一方で、設備投資に使われるような証書貸付が伸びていることは、堅実な中小企業が多いことも示している。
ただ、証書貸付の中には、金融円滑化法によって返済繰延された部分もあると見られ、真水の設備資金として貸付された額は2%よりも少ないと見られる。