北雄ラッキーは、スマートフォンで献立のレシピと店舗の特売情報を連動して配信する『eクックラック』の試験運用を始めた。冷蔵庫に残っている食材で夕食などを作る場合に、その食材を入力すると最適な組み合わせの献立レシピと必要な食材の店舗特売価格が合わせて表示される。現在の利用者は約1000人で、同社では12月27日まで運用し、成果を検証して来年度から本格的に導入する考え。試験運用しているのは札幌市内全店と近郊の20店舗。(写真は、スマホで簡単に最適食材と特売価格が表示される『eクックラック』)
同社は7~8年前に、道内スーパーとして初めて携帯電話向けメール配信サービスを始めた。個店ごとの特売情報のほか、例えば清田店などでは札幌ドームで日本ハムやコンサドーレの勝利が決まった時点でポイトン10倍のメールを配信して誘客を図ったり、学校近くの店舗では参観日や運動会の日に駐車場して使ってもらい、帰る際に店舗で買い物をすると特別ポイントが付くピンポイントのインセンティブ情報を配信することで、折り込みチラシではフォローできない買い物客の開拓を進めている。現在、メール配信の利用者数は約1万8000人。
今回、この利用者をベースにスマホ向けに料理のレシピと個別店舗ごとの特売情報をセットで配信する『eクックラック』の実験を始めた。
大日本印刷と販促支援会社のアットテーブル(東京)が開発したスマホ用の専用アプリを使っている。サイトを開いて、冷蔵庫などに入っている食材を入力すると献立が数種類表示されて、食材や調理法、それに個別店舗の生鮮食品の価格がリアルタイムで把握できる。
献立レシピは、北雄ラッキーが加入している共同仕入れ会社「シージーシー」のデータ約3000種類のほか、北雄ラッキーが独自に提供してきた『クックラック』のデータも活用している。
買い物客は、料理を作る場合に事前に購入する食材を決めて来店する傾向が強いという。『eクックラック』を使えば特売情報も瞬時に把握でき、店頭で目的の食材を迷うことなく購入できる。また、スマホを店内で利用してその場で献立を決めることも可能。スマホは、アンドロイドとアイフォーンの両方使える。
北雄ラッキーによると、これまでの試験運用で、利用者1000人のうち週2回来店しているのは200人で効果は出ているとしている。
食品スーパー各社は、新聞の折り込みチラシで販促活動を行っているが、新聞購読者の減少や主力顧客層のシニア層以外の顧客を取り込むには折り込みチラシ以外の販促が必要になってきている。「スマホを使った販促はターゲットを絞りやすいため、折り込みチラシでは訴求できないヤングファミリー層などに向けた新しい販促支援のツールとして期待できそう」と語っている。