JR北海道の政策大転換、東急電鉄やJR東日本の観光列車を臨時導入

交通・運輸

 JR北海道(本社・札幌市中央区)が、国鉄分割民営化で1987年に発足して以降、初めての大胆な経営戦略を打ち出した。JR東日本(同・東京都渋谷区)、東京急行電鉄(同・同)、JR貨物(同・同)と協力して、道内でJR東日本と東急電鉄の観光列車を走らせることに決めたからだ。これまで閉塞感が漂っていたJR北海道の経営だったが、外部の経営資源を活用することで北海道の魅力発信に取り組む新たな挑戦が始まる。(写真は、JR北海道本社)

 まず、2019年夏季にJR東日本が陸羽東線や左沢線、石巻線の観光列車として使用している車両「びゅうコースター風っこ」(2両編成、キハ48型改造車)をJR北海道が借り受け、7~9月の土日祝に宗谷線で運行する。運転区間は運転日によって異なるが「稚内~音威子府」、「旭川~音威子府」。
 実際の運行では、「びゅうコースター風っこ」にJR北海道の「北海道の恵み」シリーズ車両も前後に連結4両編成とする。

 20年5~8月の間、約1ヵ月間、週4日程度で札幌と道東を結ぶ区間では、東急電鉄が使用している車両「THE ROYAL EXPREESS」(伊豆急行2100系アルファリゾート21の改造車)を走らせる。8両編成で定員100人。無電化区間を走るため、電源車とディーゼル機関車重連が牽引する。

 この車両は、JR九州の豪華列車「ななつ星」のデザインを手掛けた水戸岡鋭次によるもので、車両ごとにデザインが異なり、展覧会や結婚式に使用できる「マルチカー」、こだわりの料理を準備する「キッチンカー」などで構成されている。JR貨物は、これらの車両を北海道まで回送運搬の協力を行う。

 JR北海道は、特急脱線炎上事故や貨物列車の脱線事故などが相次いでからJR東日本との協力体制を敷いている。ただ、これまでは互いの独立性を尊重し、経営戦略に踏み込んだ協調までは進んでいなかった。今回の4社連携は、「こんなこともできるのか」という驚きと期待の連携で、JR北海道の政策大転換とも言える。閉塞状況の経営環境の中、成長の曙光が見え始めたようだ。

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