パン激戦区と言われる札幌で、新たな高級食パン専門店が19日から営業を始める。その名も「乃木坂な妻たち」。思わせぶりなネーミングに合わせて商品名も「豊潤な妻たち」、「かぐやひめ」、「ベルサイユ」とおよそパンのイメージとはかけ離れたものになっている。キワモノ的な雰囲気を醸しながらも本格路線を追求するこの専門店、果たして札幌に定着するか。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。
(写真は、「乃木坂な妻たち」が販売する高級食パン)
運営するのは、札幌・麻生(北区北40西5)でコッペパン専門店「でぶぱん」を昨年6月に開店させたブリス・デリ&マーケティング(東京都新宿区)。同社は、1903年創業の酒卸の老舗だったが、現代表取締役の須田康裕氏が就任した2004年以降、宅配寿司「銀のさら」などを展開して業態転換。
5年前からパン部門への進出を検討、ベーカリープロデューサーの岸本拓也氏との出会いで昨年手掛けたのが「でぶぱん」だった。そして今回、同じく岸本氏のプロデュースで高級食パン専門店「乃木坂な妻たち」を札幌・桑園(中央区北6西15)にオープンさせた。
扱う食パンは、前述した商品名3種類の2斤サイズのみ(価格は800円から)。いずれも北海道では出回っていない小麦粉を使い、塩は宮古島の地下海水から作った雪塩。独自製法で白くてきめ細かい生地を作り、ふんわりした口どけの良さが特長になっている。1日500本の販売を見込む。
須田氏は、「個人的に北海道が大好きということもあって札幌に『でぶぱん』に続き『乃木坂な妻たち』を出店したが、出店地として選んだ桑園はおしゃれな雰囲気があって発展が見込めると感じた。高級食パン専門店に相応しい立地」と話し、桑園のポテンシャルを店舗と共に地元や首都圏に発信していく考えだ。また、店舗名を「乃木坂な妻たち」としたことについて、「桑園が東京・乃木坂のおしゃれなイメージに合致していること、店がのぼり坂のように人気がでること、30~50代の夫人層を主要客層に見込んでいることなどを勘案して決めた」(須田氏)という。
食パンに合わせてコーヒー豆も販売。道内には導入されていなかった焙煎機(アイ・シー電子工業製)を導入、注文を受けてから10分ほどで焙煎して販売するオーダーメードスタイルを取る。
(独自ブレンドのコーヒー豆15種類も焙煎して販売する=写真)
札幌は、ボストンベイクやどんぐり、ペンギンなどパン専門店がひしめく激戦区。高級食パン専門店では、全国展開している「乃が美」が2017年9月に札幌・円山(中央区南2西27)に先行して出店した。「乃が美」によって札幌でも高級食パンが認知され始めた中で、「乃木坂な妻たち」が新たに参入する。奇しくも「乃」の付いた専門店同士が、札幌の「円山」と「桑園」で競うことになる。
(写真は、元印刷会社事務所の建物を利用した古民家風の「乃木坂な妻たち」)