「有機野菜、無農薬野菜を選ぶように消費者はエネルギーを選択する時代になる」コープさっぽろ大見英明理事長が喝破

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 コープさっぽろの大見英明理事長は、今後消費者が電力供給源を選ぶ時代が来ると見て供給源の多様化を図る考えだ。コープさっぽろは、3年前から地球環境保護に対応して二酸化炭素排出量を抑制する取り組みを実施、コープさっぽろの店舗や工場、事務所などから出る二酸化炭素をこの3年間で17%削減している。
 東日本大震災を契機にエネルギー転換は進むと見て、環境問題をコープさっぽろのCSR(企業団体の社会的責任)活動の基軸に据える。(写真は大見英明理事長)
 
 コープさっぽろは、今年6月の総代会で、脱原発を提案し了承を得ている。これまでも環境保護に向けた取り組みを進めてきたが、東日本大震災はこうした取り組みの追い風になると見てさらに強化する考え。
 
 大見理事長は、「消費者が無農薬野菜、有機栽培の野菜を選択するように、エネルギーを選択する時代になるだろう。原発に頼らない多様な電力供給源を確保して消費者から選ばれる食品スーパーの地位を確保したい」と言う。
 
 コープさっぽろでは、店舗から排出される二酸化炭素を半減するエコ店舗の実験を始めているほか、七飯町には酪農学園大と共同でバイオマス発電の試験プラントを建設することを決めた。また、店舗で使う電気量を効率的に制御するスマートメーターの導入実験も行っている。
 
 そのほかにもバイオディーゼルを燃料にした宅配用トラックを300台揃え全国一の保有台数としたほか、植樹や育樹活動、江別エコセンターへの資源回収品目拡大、店舗で発生する食品残渣のリサイクルなど、環境保護への取り組みは地道だが重層的に幅広く行われている。
 
 コープさっぽろは、協同組合組織ながら民間食品スーパーと同じ土俵で販売競争を繰り広げている。ただ、組合員という強固な支持者をバックに環境シフトを強化、店頭での価格競争から組織全体の環境競争へ次元を移し始めている。
 
 電力供給源の多様化を進めるのも、民間スーパーでは二の足を踏む分野と見ているからだ。
 
「エネルギー転換をCSRとして明確に打ち出す」(大見理事長)としており、価格から環境へ消費者の選択の次元が“移相”することを見越している。

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