北海道ゴルフ観光協会(高橋成司会長)の主催、北海道運輸局の共催で22日、「世界のゴルフ・ツーリズム最新事情」と題したシンポジウムが札幌グランドホテルで開かれた。ゴルフと観光を一体化したツーリズムの市場が世界では大きく広がっていることから、北海道でもこうした取り組みを強化し、海外からツーリズムを受け入れる仕組みを作り上げようというもの。ゴルフや観光の関係者約200人が参加、高橋会長は「道内のゴルフ産業を活性化するには挑戦、チャレンジがキーワード」とゴルフ・ツーリズムに積極的に取り組むべきと主張した。(写真は、ゴルフと観光の関わりを討議したパネルディスカッション)
シンポジウムでは、欧米のゴルフ・ツーリズムで先鞭を付けた国際ゴルフツアーオペレーター協会(IAGTO)のピーター・ウォルトン会長が基調講演。「世界のゴルフ・ツーリズムは、約1兆円の巨大マーケットだが、ツアーオペレーター380社のうちアジアには10%程度しかなく、欧米などからの送客が少ない。IAGTOの今後のフォーカスはアジアで中国には3月にオフィスをオープンした。北海道のゴルフ観光が発展するために大事なことは、クォリティ・プライス・アクセス・プロモーションの4点が揃っていること。アクセスでは空港から90分以内に5コース程度揃っていることが必要」などと講演した。
その後、ウォルトン氏を交えて道運輸局長の八鍬隆氏、社団法人北海道観光振興機構常任理事の西野目信雄氏、前出の高橋氏の4人がパネルディスカッション。
高橋氏は、「全国2400のゴルフコースがあるが、そのうち130コースが北海道にある。観光資源としてもっと有意義に使っていくべきだ。ゴルフ業界では少子高齢化でゴルフ人口が減り、400コースが無くなる2015年問題を抱えており、北海道も例外ではない。市場を活性化するためには内需よりも海外からいかにゴルフ客を誘致するかがポイント」と述べた。
西野目氏は、「ここ10年間は北海道観光の海外プロモーションでは北海道のゴルフもPRしてきた。日本人はゴルフを『遊ぶ』感覚で捉えているが、海外は『楽しむ』ことを第一にしている。ゴルフを観光のキーワードに取り込み、地域の活性化に寄与していきたい」と語った。
また、八鍬氏は「スポーツ観光は観光振興の重要な要素で、政府観光庁もゴルフ・ツーリズムに力を入れている。北海道には素晴らしいゴルフ場があるのでゴルフ・ツーリズムが根付いて進展するのが望ましい」と行政も道内ゴルフ観光を後押ししていく姿勢を示した。ウォルトン氏も「ゴルフ・ツーリズムが成功するのは、民間と行政が一緒になって仕事をすることが鍵になる」と産官協同の大切さを強調していた。
北海道のゴルフ場は、グリーンもフェアウェイもラフもオールベント芝だが、高橋氏は「関東ではベント芝は一部で、大半が高麗芝を使っている。ベント芝は北海道のゴルフ場の宝なのに一番良いところに、我々も気づいていない。四季がはっきりしていることや食の優位性など世界を見てもゴルフ観光でこれだけの条件を備えているところはない。もっと世界に向けてアピールすべきだ」と訴えていた。