札幌市白石区菊水地区の住宅街の一角で計画されていたインバウンド(訪日外国人観光客)向けホテル建設が白紙になった。地元町内会などが地域の環境に馴染まないとして反対を表明していたもので、建築主の土屋ホールディングス(HD、本社・札幌市北区)と話し合いが行われていた。1日になって土屋HDが地元町内会に計画撤回の意向を伝えた。「住民の意思を尊重して撤回した」(土屋HD)と話している。(写真は、インバウンド向けホテルが計画されていた駐車場)
「(仮称)菊水ホテル」は、札幌市白石区菊水1条1丁目2ー11の小規模企業や薬局など12軒が入っている「ライザ21」の駐車場用地に計画されていた。敷地面積119・59坪(395.39㎡)のうち70・92坪(234.46㎡)を使って地上8階、高さ27・26mの建物を建設するもので今年10月初旬に着工、来年6月下旬完成予定だった。
計画を知った地元町内会は土屋HDに説明を要請、施工を担当する土屋ホーム(本社・札幌市北区)や土屋HD責任者が出席した説明会が7月に開催されたが、住民側は車道の除排雪問題、治安の懸念や騒音・ゴミ問題、日当たりに関する不安などから反対の姿勢を打ち出し、建設反対の立て看板も設置して意思を表明していた。
こうした反対運動の高まりから、1日に土屋HDは町内会に計画撤回を申し入れた。佐藤義博町内会長は、「土屋HDの決断を評価しています。私たちの意見が聞き入れられて良かった。菊水地区は空き地、空き家が多く今後もこのような問題が起こるかもしれない。地域の環境を守るためにこれからも活動を続けていきたい」としている。