ディスカウントスーパー「トライアル」が小樽市新光で業界常識への挑戦

流通

 坂が多く地元の人しか知らないような道路が入り組んだ街で、ディスカウントスーパー(DS)のトライアルカンパニー(本社・福岡市東区)は勝負をかけようというのだろうか。小樽市新光――市の東部に位置するこの地域で今秋から新たな流通戦争が始まる。IMG_3512(写真は、「トライアル小樽新光店」の建設現場)

「札幌市内なら分かるが、人口減少、高齢化が進み商圏の狭い小樽市に進出するとは……」。業界関係者が驚くのが、トライアルカンパニーの小樽市新光5丁目への出店だ。朝里温泉から国道5号に繋がる朝里温泉通に沿って既存の商業施設が並ぶ。トライアルが選んだ場所は、そうした商業施設が集積している地区から1㎞ほど山側に入ったところで、高速道の朝里インター近く。「まさにトライアルが好みそうな場所」(業界関係者)だ。

 トライアルは、旧カウボーイの大型店を承継して北海道に進出してきたが、4年ほど前から単独路面店の新設で店舗を増やしている。これまでに千歳市、苫小牧市、岩見沢市、北見市、釧路市、登別市、恵庭市などに出店してきたが、いずれも平野部で広域から買い物客を集められる場所に展開している。

 しかし小樽市は、これまでの経験則が通じない非平野部。立地場所は確かにトライアルが好む条件が整っているが、広域商圏は成り立たないのが後志管内の常識。トライアルの店舗は、食品スーパーとドラッグストア、ホームセンターの業態をハイブリッド化した店舗で、生活に必要な商品をワンストップ供給するのが特徴だ。

「1店舗15億円ほどの売り上げがないと成り立たないのではないか。広域からお客が呼び込めない小樽・新光の店舗は、勢い既存店から買い物客を奪うしかないだろう」(同)。
 非平野部の閉鎖商圏でDSの訴求力は、どのくらいの力を発揮するのか。後志管内の流通業界の常識に挑戦するトライアルの店舗は今秋オープンする。

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