札幌市内中心部では、マンションや商業施設の大型物件を建設する土地がほとんどなくなったと言われているが、業界関係者の間で注目されているのが国有施設。中でも、税務大学校(西区八軒)と自衛隊病院(豊平区平岸)の行方に関心が集まっている。共に現役施設として利用されているが、施設ができて数十年を経ていることから、将来的な売却期待を込めて水面下で情報収集が続いている。(写真は税務大学校札幌研修所)
マンションや大型商業施設は、7~8年前までは郊外型立地が進んできたが、ここ数年はマンションを中心に都心部回帰が進んでいる。
マンションの購買ニーズは都心部へのアクセスの良さという好立地が条件になる場合が多く、地下鉄駅周辺やJRの札幌駅、桑園、 琴似周辺に続々と建設されている。
都市部住民が増えると食品スーパーなど買い物需要が増えてくるものの、中央区の大通周辺では食品スーパーがなく、局所的な買い物難地域になっている立地もある。
都心部の周辺には大型の土地がほとんどないため、大規模再開発の余地はなくなったといわれているが、業界関係者の間で注目されているのが国有施設。
ひとつは西区八軒5条8丁目の税務大学校札幌研修所。敷地面積3万5000㎡。1968年に作られた施設で下手稲通に面していることから利便性は高い。
もうひとつは、自衛隊札幌病院。豊平区平岸1条12丁目に立地しており55年に開院。05年には開院50周年を迎えている。
(写真は自衛隊札幌病院)
2施設ともに現在使われており、将来的な方向性は未定。しかし、国有施設は老朽化や施設統合による効率化、さらに国の財政難も絡んで売却圧力は強い。
このため、建設業者や商業関係者は水面下でこれら2施設を含む中心部国有地の情報収集を強化している。
財務省は、国有地を売却する際に地元自治体と事前協議して、売却の前に自治体と共同で開発計画を策定することにしており、購買希望業者は国の動向とともに地元自治体に対して開発計画プラン提案など5~10年先を見据えた取り組みが必要になりそうだ。