食品卸の明治屋商事と菱食、サンエスなど4社が経営統合して誕生した三菱食品に道内の地方中小食品スーパーが戦々恐々としている。三菱食品は道内の食品卸として圧倒的な存在になったが、同社の道内取り引きの8割程度がアークスを含む北海道シジシー(CGC)向けになったという。三菱食品と取り引きしている道内中小スーパーでは、今後三菱食品から取り引き保証金の積み増しや支払いサイトの短縮などが求められるのでないかと危惧する。(7月1日付け日経新聞に掲載された三菱食品誕生の5段広告)
食品スーパーは生鮮食品以外の食品類を卸から購入しているが、食品卸は数年前から経営効率化のために地方配送を選別、道内の地方で展開する中小スーパーは配送コストのアップや品物が不足する傾向が出ている。
このため、一時は全日食がこうした地方で展開する中小スーパーの卸として受け皿になると見られていた。しかし、現在は全日食もこうした地方への配送について消極的になっていると言われる。
そうした中で、今年7月に持ち株会社三菱食品が誕生。10月には明治屋商事、来年4月にはサンエス、フードサービスネットワークが経営統合から一歩進んで三菱食品と合併し、2兆3000億円と食品卸としては圧倒的な売り上げ規模になる。
三菱食品の道内取り引きでは、アークスを含む北海道シジシーやコープさっぽろが中心になり、とりわけアークス向けは三菱食品の道内売り上げの8割を占めるようになるという。
仕入れる量が多いアークスやコープさっぽろは卸単価が低くなり、仕入れ量の少ない中小スーパーは単価が高くなってしまうのは避けられないが、中小スーパーが危惧しているのは
三菱食品が配送効率化を一層進めるために配送ルートをさらに絞るのではないかという点だ。
アークスやコープの店舗向け配送ルートを使える中小スーパー店舗はまだしも、単独で配送しなければならない非効率な中小スーパー向けの供給は一段と厳しくなる。
ある中小スーパーの経営幹部はこう言う。
「中小向けの卸単価は高くなるのは避けられないが、三菱食品は中小向けに取り引き保証金の積み増しや支払いサイトの短縮を要求してくるのではないか。場合によったら、現金支払いで買わなければならなくなるところも出てくるかも知れない」
地方では食品スーパーの撤退で日常の買い物が不便になる“買い物難民”が出ているが、道内地方の中小スーパーでは商品が入ってこない“食品卸難民”になるところも出てきそう。
前出の経営幹部は、「地方の中小スーパーは、廃業か、アークスグループ入りか、コープさっぽろグループ入りか――三者択一を迫られる事態になるだろう」と語る。
国分や日本アクセス、伊藤忠食品など他の食品卸が道内中小スーパーにどう対応するのかも注目される。