サツドラホールディングス(HD、本社・札幌市北区)が、ドラッグストア事業を核にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の分野に果敢に攻め込んでいる。中国の決済方法である「WeChat Pay」の代行サービスの普及を進めているのも、近づくキャッシュレス社会での事業機会を窺うためだ。人口減少が急速に進む北海道は、全国が抱える課題が真っ先に顕在化する言わば課題先進地。全道に張り巡らせたリアルなドラッグストア店舗は、課題解決型ソーシャルビジネスのプラットフォームへ進化する可能性を秘めている。サツドラHDの富山浩樹社長に成長戦略を聞いた。(写真は、サツドラHDの富山浩樹社長)
――道内のドラッグストア市場の見通しは。
富山 まだまだ成長していくと思います。ただエリアによってすごく斑(まだら)状態になってきたのは確か。私たちは、小商圏型モデルを目指しています。コンビニが1番小商圏で成り立っている業態で、その次に私たちが小商圏で成り立つフォーマット。物販だけではなく、サービスの分野などリアルな場として地域にあって、人もいるという利点をどう次の時代に生かしていけるかが大きなテーマになってくると思います。
昨年は、ヤマト運輸と提携して「PUDOステーション」というECサイト(電子商取引)や宅配便再配達の受け取りロッカーを一部の店舗に設置しました。受け取りの場として提供しているわけですが、そういったことが新たな機能の付け方になってくると思います。ちなみに「PUDOステーション」の利用度は非常に高い。
――そのステーションがあるのは、まだ限られた店舗ですね。
富山 札幌、旭川、函館の各店舗に拡大しています。それ以外の機能としては、一部店舗に整骨院も入っています。今後、どういう機能が必要なのか、常にトライをしていきたいと考えています。
――道内で出店可能な地域はどこでしょうか。
富山 まだ当社としてシェアを取れていないところがあるので、そういった地域に出店していきます。当然、収益を確保しなければならないので、いかに効率の良い店づくりをしていくかが課題。今のままでは、どこかで頭打ちが来るので収益モデルをつくっていくことが重要ですし、そのためにはITの強化、導入が不可欠です。
――「北海道くらし百貨店」は札幌に続いて、沖縄に2号店を出店しましたが、予定通りの状況ですか。
富山 ブランドとしては立ち上がりましたが、正直言ってまだまだ集客面や売り上げは計画に到達していません。しかし、期間限定のポップアップ店舗などはご好評をいただいているので、知名度向上の取り組みと商品のブラッシュアップを継続して育てていきたい。
――インバウンド向け決済サービス「WeChat Pay」が利用できる店舗がかなり増えました。
富山 サツドラHD子会社のリージョナルマーケティングが、2016年11月に北海道の企業としては初めて「WeChat Pay」の代行サービスに参入、決済可能な店舗は2018年2月期で約1000店になりました。現在は、北海道のみですが、今期は道外にも決済可能な店舗を広げていきます。自動販売機の富士電機との提携も決まったので、全国で広がっていくと思います。