2018年3月31日で北海道・札幌から姿を消すと見られていたコンビニエンスストア「サンクス」が、札幌市内で1店舗のみ5月~6月ころまで生き延びることになった。赤と緑を基調に靴を履いて帽子を被ったKの愛らしい看板を、もうしばらくは見ることができる。(写真は、生き残ることになった「サンクス北星学園前店」)
サンクスは、1982年に直営の「札幌中の島店」(豊平区、現在はファミリーマートに転換)を1号店として北海道に進出。その後、セイコーマートを脱退したオーナーなどがサンクスとフランチャイズ(FC)契約を結び、店舗を増やしていった。
セイコーマートを脱退したオーナーたちは、最初にファミリーマートと接触したがFC契約が出来ず、サンクスに切り替えて出店を加速していった経緯がある。サンクスは当時、仙台に進出していたものの苦戦していたため、北海道進出で活路を開こうと積極的に出店を後押しした。サンクスはオーナーの意向を汲み取る傾向が強く、例えばおでんについてはオーナー側から味噌おでんを主張されて導入。しかし、結果的にうまく行かず切り替えたこともあった。
最盛期には道内200店舗を超える規模になったサンクスだが、2016年9月1日にサンクスを運営していたサークルKサンクス(本社・東京都中央区)の親会社にあたるユニーグループ・ホールディングス(同・愛知県稲沢市)がファミリーマート(同・東京都豊島区)と合併してユニー・ファミリーマートホールディングス(同・同)が発足。これに伴って、コンビニ事業は「ファミリーマート」のブランドに一本化されることになった。
以降、急ピッチで「サンクス」の「ファミリーマート」への転換が進んだ。18年3月末の全面転換を目指し、最後まで残っていたのが千歳市内の「千歳中央大通店」と札幌市内の「新川3条店」(北区新川3条16丁目)、「北星学園前店」(中央区南4条西16丁目)。
(写真は、「サンクス新川3条店」の閉店前=上と閉店翌日)
このうちFC店の「新川3条店」は写真のように3月31日をもって閉店したが、生き残ったのが「北星学園前店」と「千歳中央大通店」。こちらは、FC店からファミリーマートの直営店に移行しており、当面継続するという。
かつては、赤と緑と白をイメージカラーに愛らしい黄色のKの文字からなる「サンクス」の看板が街角を彩っていたが、今や北海道・札幌ではラスト1店舗。北海道で30数年間に亘り親しまれてきたコンビニブランドも、消えるのは一瞬と言っても良い。企業が変化するスピードは、そのまま社会が変化するスピードを示していると言えそうだ。
※2018年4月5日記事一部訂正しました。サンクスは現在、札幌市内1店舗ですが、千歳中央大通店も継続しております。訂正してお詫びいたします。