2011年上半期に札幌中心部で売買された大型不動産物件の取引価格が明らかになった。直近では6月中旬に南1条西14丁目の旧札幌市教育委員会庁舎跡地が坪単価138万円で取引されたほか、4月にはこちらも札幌市の旧中央図書館跡地だった北2条西12丁目が坪単価80万円で売買されるなど、公示地価を大幅に上回る価格での売買が続いている。
(写真は左上から時計回りに北2西12の土地、大通西8のサンワード大通ビル、南1西12の土地、北6西17の土地)
まず、中心部の建物売買では、今年1月に北2条西3丁目の「リー北2条ビル」が売却された。売主はLEE不動産で買主は北海道エナジティック。土地面積は438・54㎡。取引価格は約7億6000万円。建物は地上8階、地下1階で築36年。
建物価格を勘案した想定土地価格は坪当たり471万9000円。
5月には大通西8丁目のサンワード大通ビルがロジネットジャパンに売却された。土地面積は652・16㎡で取引価格は6億9500万円。建物価格を勘案すると土地価格は坪当たり232万5625円になる。
国有地・市有地の売却では、2月に財務省が北6条西17丁目の更地約1974㎡を売りに出し、ほくやくが2億7031万円で落札。坪単価は45万1697円。現在はほくやくの駐車場として利用されている。容積率は200%。
通りを挟んだ西16丁目にはほくやく・竹山ホールディングスの本社ビルがある。
4月には北2条西12丁目の札幌市旧中央図書館跡地約2951㎡が大和ハウス工業に売却された。取引価格は約7億1510万円で坪単価は79万9461万円。この土地の東隣りは、大韓民国の総領事館。大和ハウスは10月から14階建て104戸のマンション開発を進める。容積率は300%。
6月中旬には旧札幌市教育委員会庁舎跡地がメディカルシステムネットワークの子会社で不動産開発の日本レーベンに売却された。総面積は約3105㎡で取引価格は13億223万円。坪単価は138万4020円。
この土地は2007年1月に東京に本社を置くライフコートが11億5000万円で取得した土地。その後、ライフコートが破産したため塩漬けにされ4年半ぶりに新たな買い手として日本レーベンが登場した。最初に売却された07年当時は、ファンドによる中心部のビル・土地売買が活発でミニバブル的な様相だったが、その当時よりも高値で売却された。
クリニックや調剤薬局、高齢者向け賃貸住宅など複合医療施設が建設される予定。
札幌不動産鑑定の今田幹丈社長は、「大和ハウスが所得した北2西12の土地は、公示地価が坪50万円くらいの場所。それが80万円近くまで行ったのはびっくりした。ただ、中心部のマンション用地は希少価値があり、まとまった土地にはこうした傾向が強くなるだろう」と言う。
また、札幌中心部の賃貸マンションは投資用物件として全国から注目されているという。これまで仙台、福岡、札幌が地方の投資用マンション物件の適地とされてきたが、仙台は東日本大震災の影響を受けたため福岡と札幌にシフトしているが、利回りから札幌が注目されているという。