歯科医師、歯科衛生士の転職支援サイト「ファーストナビ」を運営しているファーストコネクト(本社・札幌市中央区)。創業4年目のこの会社を設立したのは、宮副俊彦代表取締役(38)。宮副氏は、東京の看護師系転職支援サイト運営会社で10年間勤めた後に起業、札幌の優位性を確信して本社機能を札幌に移し、全国に向けて事業展開している。宮副氏に、事業の現状と成長戦略、札幌を本社に選んだ理由などを聞いた。(3回シリーズでお伝えします)(写真は、ファーストコネクトの宮副俊彦代表取締役)
――まず事業概要から聞かせてください。
宮副 歯科医院向けの人材紹介事業を行っています。具体的には勤務歯科医師のほかに国家資格を持っている歯科衛生士などを紹介して、手数料をいただく事業です。歯科衛生士が創業当時からの主力ですが、市場のかなりを押さえても年間10億円程度です。私が以前に勤めていた看護師の人材紹介はその20倍ぐらいのポテンシャルがあると思います。そのくらい歯科のマーケットはニッチなので、私たちの前職で得た看護師紹介のノウハウとオペレーションの蓄積を使えば勝てるという判断をして2014年6月に参入しました。
――前職の話は後ほどお聞きするとして、勝てる判断というのは、看護師紹介で深掘りしてきた知恵とか知識があるということですね。端的に言うとどこに競争力がありますか。
宮副 一番は特定の職種で、転職に関心がある属性の人を大量に集めるノウハウがあるということです。端的に言うとウェブ上での広告出稿、ウェブマーケティングに強いノウハウがあるということになります。
――広告はどんなウェブ媒体に出稿するのでしょう。
宮副 グーグル、フェイスブックなどいわゆるインターネット媒体に出します。我々の事業はニッチなので、歯科衛生士ではない人には当社の広告は一切出ないようにして、逆に歯科衛生士には、これでもか、というぐらい広告を見せる仕組みです。
――ネット媒体を見る傾向から歯科衛生士を見つけ出して、その人に向けてネット広告を優先的に出すようにしている訳ですか。
宮副 そこがまさにノウハウです。結果的に歯科衛生士はいつも当社の広告を見るようになります。例えば弁護士とか税理士とか全然関係ない職種の人は、当社の広告を一切知りません。同じ広告の配信料で、特定の人たちに投下するノウハウがあるのです。マスマーケットに配信するのではなくニッチマーケットを抽出して配信することで、効率的に人材紹介に結び付けることができます。そのノウハウを持っていない同業者は、全方位的に広告を出稿していますから費用対効果が非効率になります。
一定の広告を出稿して何人の登録が入ってくるか、そのうち何%が成約に至るかというモデルを1回作ると、それをどんどんスケールアップすることができます。広告の出稿量を増やせば人材紹介の制約も実数として上がっていきます。看護師、薬剤師の人材紹介では、上場企業がそういうビジネスモデルを構築してネット媒体に広告をどんどん投下していますが、歯科分野はニッチのためそうしたいわゆる大企業は参入してこないのです。
――現在の年商はどれぐらいですか。
宮副 創業4期目の2018年3月期はおそらく6億円程度で着地すると思います。