札幌市議会議員が政策調査研究活動のために使った政務調査費の2010年度分の全面公開が、1日から市役所15階の議会図書室で始まった。市民の目線から市政を検証する活動を続けている市民団体「北海道市民オンブズマン連絡会議」の橋本勝三郎代表監事ら3人は、この日も例年のように午前10時に一番乗り、市議会会派ごとにまとめられた領収書コピーのファイルを閲覧、使途のチェックを始めた。(写真は、政務調査費の領収書ファイルを閲覧する市民団体。中央は橋本勝三郎氏)
政務調査費は、議員報酬とは別に議員や会派の政策調査や議会活動として使われるもので、札幌市議には昨年度一人当たり年間456万円が支給された。
使途の内訳は、事務所スタッフの人件費や事務所費などが中心だが、市の情報公開条例に基づいて個人情報に当たると議会事務局が判断した領収書についてはマスキング(黒塗り)を施しており目的が不明の支出もある。2008年度分からそれまでの5万円以上を1円以上の領収書を全面公開することになったため、政務調査や議員活動とは認められないようなグレーゾーンへの支出に歯止めが掛かったが、それでも今回の全領収書数8379枚の1000枚以上がマスキングされ、適正か不適正かを市民が判断できない部分も残されている。
ただ、1円以上の領収書を公開することになって透明化が進んだため、議員意識も変化し、昨年度に支給された3億134万円のうちで実際に使われた額は2億6705万円と使用率は88・6%にとどまった。全面公開が始まって以降、使用率は減少しており使われなかった3429万円は市に戻されている。
橋本氏は、「政調費には市民の税金が投入されている。自分たちの選んだ議員がどんな議員活動をしてどんな支出をしたのかを自分たちの眼で確かめて欲しい。議会図書室では、土日以外1年間、領収書公開が行われているので30分でも1時間でも市民の方に足を運んでもらったらと思う」と閲覧を呼びかけている。
また、橋本氏は市民がいつでもアクセスして閲覧できるように市のホームページでも掲載するべきと要望した。
道議会では、2009年度分の政調費に関して不正受給や政治資金収支報告書との二重計上などが相次いで指摘されており、市民・道民の政調費への関心が高まっている。道議会では昨年度分から1円以上の全面公開になったため、全面公開で先行した札幌市議会と「政調費」に対する感度は鈍いようだ。