札幌市は、29日の市議会財政市民委員会で、市役所に隣接するNTT大通2丁目ビルの取得を提案する。取得費9億3000万円で提案するが、実際には土地代を含めて約60億円になる見通し。(写真は、市が取得するNTT大通2丁目ビル)
NTT大通2丁目ビルは、1953年の竣工で今年が築64年。電信電話公社時代に建設した建物。強固で耐久性があり今後も使用可能という。地下1階、地上6階建てで延べ床面積は約3487坪(1万1508㎡)。現在は、NTT東日本の関連企業、居酒屋、ローソン、札幌大通郵便局などが入っている。
市が提案するのは建物の取得で予定価格は9億3000万円。来年完成する北1西1再開発ビルにNTT東日本関連企業が移転するため、今回のタイミングでの提案になった。
同時に取得する土地は、約600坪で議会の同意が必要な4545坪(1万5000㎡)以下のため、建物取得のみを提案することになったが、土地代込みの取得費は約60億円にものぼる。市がこれまで民間の土地を取得する場合、市有地を等価交換するケースが多く、市が取得した現NHK札幌放送局敷地も旧札幌市立病院跡地との等価交換だった。しかし、今回は等価交換をせず現金を支出して取得する。
取得後の活用策として、市は建て替えが迫っている中央区役所(南3条西11丁目)の一時移転場所とする考え。中央区役所移転のためには約1515坪(約5000㎡)のフロアが必要。NTT大通ビルは十分な収容力がある。札幌大通郵便局は使用しているフロアを区分所有しているため、今回の建物取得の対象にはしない。
市は中期的に市役所をNHK札幌放送局跡に移転新築し、現庁舎を解体する考え。解体後の土地を民間事業者に定期借地で貸し、整備を進めたい意向。また、NTT大通2丁目ビルは解体し、大通公園から札幌時計台が一望できるよう公園などに整備をしていくという。