札幌市清田区美しが丘の商業施設跡に津司が展開する卸売スーパーが居抜き出店することになった。この施設は、4月29日に豊月が全面リニューアルオープンさせた「フードD VAlue」に隣接している。卸売スーパーは低価格路線で知られる食品スーパー。「高質化路線」の豊月と隣り合わせになることで消費者がどう使い分けるかが注目される。(写真は、卸売スーパーが居抜き出店する商業施設とその内部)
羊ケ丘通りに面した空き状態の商業施設は、1995年に建設されたもので以前はコープさっぽろが店舗を構えていた。閉店後には、丸井今井の配送センターとして利用されていた。所有者は北海道空港の関連会社であるセントラルリーシングシステム。
隣接しているフードDは今から12年にディスカウント路線の店舗を構えたが、5年ほど前にディスカウントと品質重視を兼ね備えて店舗コンセプトをもとに「フードD 美しが丘食彩館」として営業、そして今年4月には約1ヵ月間の休業で全面リニューアルを実施、高質の食品スーパーに衣替えしている。
隣接する空き店舗には3月ころから卸売スーパーが出店する噂が業界内に流れていたが、3月初旬に同社の津司耕太郎社長は、「駐車場が狭く出店しない」と述べていた。
ただ、同社と北海道空港は関係が深く、JR千歳駅前には北海道空港の関連会社、耕人舎が卸売スーパーのFC(フランチャイズ)店を展開、美しが丘の施設も同空港関連会社が保有することから、関係者の間では「家賃交渉次第では進出の可能性は高い」と見られていた。
津司が居抜き出店を決めたのは、家賃が大幅に引き下げられたためという。5月7日現在、まだ居抜き出店に向けた工事は進められていないが、設計事務所や工事関係者がレイアウトなどの調整を行っている。オープンは6月以降になりそうだ。
迎え撃つ格好になる「フードD VAlue」の高田大輔店長は、「当店は高質路線を目指しており、まだまだ人手をかけて対面販売を強化するつもり。卸売スーパーの出店で集客力が高めることが期待でき、お客様が2店を使い分けるのではないか」と見ている。