豊月は29日、フードD美しが丘食彩館を全面リニューアル、「フードD VAlue」(札幌市清田区美しが丘)として営業を開始した。鮮魚や惣菜類で対面販売を強化、生鮮食品の売り上げ構成を55%程度に引き上げて利益率を高める。開店前にはオープンチラシを手にした買い物客が行列を作り、午前9時の開店時間を早めて店内に買い物客を入れたが、入場制限も行い混雑した。(写真はリニューアルオープンした『VAlue店』と賑わう鮮魚売場、オール対面キッチンの惣菜売場)
全面リニューアルにあたり4月上旬から一時閉店、23日間をかけて天井や床、レイアウトを全面的に作り直した。食彩館のネーミングで営業していたころと比べて、店内はデパ地下を思わせるような高質感がある。
工事費に約1億円、什器類にも1億円の合計2億円程度をリューアルに投じた。高質化を進めるために札幌プリンスホテルの総料理長を惣菜部門に招聘するなど、品質重視の姿勢を強く打ち出している。
「フードD VAlue」の特長は鮮魚の対面販売と惣菜類のオール対面キッチン。豊岡憲治社長は、この狙いを「お客様への売り込み力を強化するため」と説明している。
食品スーパーでは、調理部門は後方部門として店頭から見えないようにしているケースが多いが、「敢えて調理しているところをお客様にも見てもらい、対話ができるようにして売り込んでいきたい。鮮魚と惣菜部門で5人ずつ従業員を増やして対応している」(豊岡社長)
美しが丘食彩館のころには、ピーク時で年間売上高27億円を達成したこともあるが、ここ数年は低価格競争の煽りを受けて20億円を切っていた。
全面リニューアルを機に利益率の高い生鮮食品の比率を高め、「年間20億円の売り上げでも以前のピーク時の利益率を出せるようにする」(豊岡社長)と語った。
この日はオープンを待ちきれないように買い物客が殺到、とりわけ鮮魚売場では売場担当者に話しかける買い物客も多く、好調な出だしとなったようだ。
豊岡社長は、「商圏のお客様と一緒に作っていくお店にしたい。ただ、売場にお客様が慣れるまでにしばらくかかるだろう。2~3年は(収益面で)厳しいと思うが、ローカル食品スーパーの生き残りのためには必要」と強調。
豊月のこうした高質スーパーは、江別市大麻の「LISTA」、苫小牧日新町の「Vian」に続いて3店舗目。秋口には札幌市手稲区前田に同様の高質スーパーを新規出店する。
一方、激安価格のハードディカウントも充実させる考えで、苫小牧市内の既存店舗を近くハードディスカウント店に変更する予定という。