コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は6日、取引先で組織する生協会の新春学習会を開催した。その中で、大見英明理事長は話題提供として、2017年度(17年3月21日~18年3月20日)の事業方針の概要を発表した。店舗事業については前回報じているので、今回は宅配事業やフードバンク事業などについて紹介する。(写真は、2017年度の事業方針概要を発表する大見英明理事長。6日午後、札幌コンベンションセンターで)
「宅配事業は、最終顧客の玄関まで入っていくラストワンマイルとしてどのように競争優位を作っていくかを構築していく。ライバルはアマゾンだ。日本の先端的生協の宅配事業は都府県の世帯占有率が20%程度になっているが、コープさっぽろは、まだ全道270万世帯のうち33万世帯の占有率にとどまっている。これを54万世帯まで引き上げられるのではないかと思っている。現在の1・6倍、年間1100億円まで地道に組合員の紹介をいただきながら引き上げたい」
「宅配トドックでは、年間3000万円相当の発注間違いや商品破損などによる返品がある。それを全道27の養護施設に提供する『トドックフードバンク』事業として昨年5月からスタートさせた。その後、11月末には卸のナシオ、日本アクセス、加藤産業、山星屋、国分北海道、日本生協連の6者がロス品について生活弱者である養護施設に供給していこうと『トドックフードバンク基金』を設立、社会貢献していくことになった。年間5000万円くらいの食品ロスが社会に寄与することになる。この輪に三菱食品も参加する予定で大きな社会貢献組織になれると考えている」
「3月21日から始まるコープさっぽろの新年度から大学生の育英奨学金制度を作る。教育の不平等をどうしたらサポートできるかを考えて創設した。コープさっぽろで働いてくれるアルバイターに年間25万円の奨学金を、1年間の就労に対して支払う。4年間で上限100万円の給付型の奨学金制度だ。コープさっぽろは働きながら学ぶ人、真面目な勤労学生を積極的に支援する。これによってコープさっぽろの店舗には、優秀な学生が集まってくれるのではないかと期待している」
「昨年末にアマゾン・ゴーという30坪の無人ストアがシアトルにできた。携帯端末をかざして店内に入り、商品を取ったら自動的に銀行から引き下ろされる。レジもなければ人もいない。まさにIoTのオートメーション化の最先端のショップだ。
コープさっぽろのライバルはアマゾンだと考えているが、無人店舗を作る気はない。いくらオートメーション化が進んだとしても人が人として関係性を持つこと、コミュニケーションを求めるのは人間の本来的欲求。生産性向上など仕事改革を進めながら働いている職員の仕事価値を引き上げる条件整備を積極的に進める」
「人が働くことの価値をサポートできるシステム開発などを進めたい。アマゾン・ゴーはセンサーとカメラとディープラーニングという画像解析と機械学習の技術を使っていて、自動運転の機械設計と同じ考え。情報スピードが上がっていく中で私たちは人間的、情緒的価値をどう引き上げるかに努力したい」
「帯広の十勝生協をコープさっぽろが統合し、全道統合してから今年で10年になる。コープさっぽろは、食品を中心とする事業なのでそこにヒト、モノ、カネの3つの経営資源を生協会の皆さんとの関係性を持ちながら投入してきた。私どもはすべての事業が社会貢献に繋がるように努力を続けていきたい」
「世の中には三方良しという言葉がある。当生協で言えば、組合員に喜んでもらえること、働く職員のモチベーションが上がること、取引先の売上げ、利益が拡大することが三方良しになると思っている。さらに我々はその上に、北海道に寄与するということを付けて四方良しを目指しながらに今後とも事業を進めたい」