元衆議でニトリ特別顧問も務めた長内順一未来経営研究所社長が提唱し、北海道商工会議所連合会や札幌商工会議所などで構成する実行委員会が主催する「北海道経営未来塾」の塾生20人が、きょう28日から1泊2日の日程で首相官邸や国会、国土交通省、厚生労働省などを訪問する。「未来塾・修学旅行」と位置づけ、現職閣僚と懇談するほか東京の若手経営者とも交流、ニトリホールディングス(HD)の四半期全体会議なども見学する。政治経済界の人脈づくりのきっかけを掴み知見を磨いてもらうのが目的。(写真は、6月に行われた北海道経営未来塾の入塾式。前列中央は林幹雄前経済産業相)
道未来塾は、北海道から第2のニトリHDやアインHDのようなグローバル企業の経営者を育てようと今年6月から始まった若手経営者対象の経営塾。ほぼ毎月著名な経営者を招いた講演会などを実施、経営者との交流を通じてビジネス感覚を肌で体得してもらうのが特徴。これまで札幌で開催してきたが、北海道を出て知見を広げるために修学旅行を実施することにした。
28日は午前11時半に衆議院第一議員会館に集合し、第一会議室で菅義偉・官房長官秘書官からレクチャーを受けながら議員会館や国会の食堂でしか販売していない吉野家特製牛丼を食べる。
その後、徒歩で首相官邸に移動、菅官房長官から空港民営化について聞く。官邸内を見学し首相公邸にも入る予定。首相執務室も見学するため安倍晋三首相と言葉を交わす場面もありそう。続いて国会議事堂に移動、開会中の国会の様子をリアルに体験する。
次に国交省を訪問して石井啓一・国交相と挨拶、田村秀夫・北海道局長が北海道開発の展望、田村明比古・観光庁長官は北海道の観光展望についてミニ講義をする。さらに厚労省を訪問し医療・介護報酬、外国人の就労問題、女性や高齢者の働きやすい環境づくりなどの意見交換。塩崎恭久大臣とも懇談する。
午後6時半から品川プリンスホテルで開催される東京交流会には、カシオ計算機の樫尾哲雄・上席執行役員やゲオホールディングスの遠藤結蔵社長、森永商事の松﨑勲社長(安倍首相夫人・昭恵さんの実弟)ら在京の若手経営者28人が出席、交流を深める。
29日はニトリHD東京本部(北区神谷3丁目)に集合して本部内にあるカタログ写真などの撮影用スタジオや耐久試験室などを見学。似鳥昭雄会長と懇談した後に役職員と全国のニトリ店舗店長など1000人が集まる3ヵ月ごとに開催される四半期全体会議を見学。その会議では今回、鈴木直道・夕張市長の講話も行われるため塾生たちも傍聴する。
昼食はニトリHDの社員食堂で取りながら白井俊之社長のほか社外取締役の安藤隆春・元警察庁長官、竹島一彦・元公正取引委員会委員長、川村隆・元日立製作所社長の各氏を含めた同社役員陣と情報交換会を実施する。
その後、ニトリ躍進の原動力になったチェーンストア理論を全国に広めたペガサスクラブ主宰、渥美俊一氏の記念館(渋谷区鉢山町)を訪問してビデオや書籍などを通じて功績を学ぶ。渥美俊一記念館は、昨年ニトリHDが渥美氏の自宅を買い取って整備を進めてきた。
「未来塾・修学旅行」について、塾長の長内氏は、「経営者は大所高所から経営判断することが必要で政治行政はビジネスのバックボーンでもある。今回の修学旅行を通じて知見を磨き人脈づくりのきっかけにして欲しい」と話している。