ラルズが札幌市北区新川西に「スーパーアークスエクスプレス」を出店して4ヵ月、東日本大震災による買いだめ需要もあって順調に売り上げを伸ばしている。この店は、過去4回、出店したスーパーがいずれも閉店に追い込まれた“スーパー受難”の場所。横山清社長は、「上半期で方向性がハッキリする。その時点で多店舗化を考える」と述べている。(写真は、スーパーアークスエクスプレス)
ラルズが「スーパーアークスエクスプレス」を出店したのは、昨年12月16日。
店舗は、十数年前に丸井都市開発が開発した物件で、最初は「黒潮市場」がオープンしたが、閉店。その後、丸井今井の社長を解任された今井春雄氏が食品スーパー「ゼスト」を出店したが、1年を待たずして閉店。続いて出店したマックスバリュ北海道も数ヵ月で撤退、さらに海商が会員制の安売り店舗「バッタランド」を手掛けものの、やはり1年ほどで閉鎖になった。
片側3車線の新川通と新川に阻まれて買い物客が敬遠する立地というのが、スーパー受難の物語を作り出しているが、ラルズはこの物件を取得し改装、敢えてこのジンクスに挑戦する攻めの姿勢を取った。
この店舗の周辺には、ラルズが展開するビッグハウスの花川店、新川店とラルズマート発寒店があり他社がディスカウント店を出せば影響を受けると見て、防衛的な意味合いも含めて出店に踏み切った。
ラルズは取得費と改装費に合計3億円を投じており、レイアウトも横山清社長が自ら手がけたという。
オープン当時は、1日1000万円を超える売り上げがあったが、その後は大台を突破する勢いが緩んだものの、「今は確実に土・日はそれくらいいっている。既存の店を凌ぐこともある」と横山社長は言う。
月間の売り上げは、想定した下限値である1億円をボーダーラインにしているが、スーパーアークスエクスプレスは、周辺のビッグハウスやラルズマートを最大の敵とするカニバリ的(共食い)な店づくりが真骨頂。
トレードマークは野鳥のカワセミ。俊敏で可愛さの中にも獰猛さがあるカワセミのような店を目指すという意味がある。スーパーアークスの店舗の中でも先鋭的でもう一皮剥けた店がエクスプレスというわけだ。
多店舗について、横山社長はこう語っている。
「ひとつのモデルというかスタンダードができないと多店舗化はできないが、第2四半期(8月)が終わればオープン9ヵ月になるからおおよその方向性がわかる。それから考えていく」
既存店舗の変更とともに新たな居抜き出店も俎上にのぼりそう。