「エコミック」札証アンビシャス上場10年 熊谷浩二社長に聞く「次のステージ」

経済総合

 給与受託計算のエコミック(本社・札幌市中央区)は、4日で札幌証券取引所アンビシャス市場に上場してから丸10年を迎えた。また4月から同社は20期目がスタートしている。そんな節目の年に当たり、熊谷浩二社長はどう次のステージを描いているのか、展望を聞いた。P1050930(写真は、熊谷浩二社長)

 ――給与計算アウトソーシングの事業環境はどうですか。
 
 熊谷 昨年の年末調整の受託は、前の年に比べて1万人分増えて31万人分の処理実績があった。価格で受注を増やしたのではなく、パート・アルバイトの募集状況を見ながら着実に受注を増やしていった。価格で受注を増やしても年末調整作業をするパート・アルバイトを増やさなければならず、結果的に人件費が増えてあまり利益は見込めない。昨年はそこをうまく勘案しながら受注も増やすことができた。一般的に言えば、賞与を支給する企業も増えており、給与計算、年末調整のアウトソーシング需要は堅調に推移している。
 
 ――中国・青島の現地法人の稼動状況は?
 
 熊谷 青島では保険申告のチェックが中心だが、2万人分から7万人分に増えた。しかし、インターンシップで働く中国の日本語学科の大学生が100人から今年は70人ほどに減っており、先々は人手を考えていかなければならない。ただ、現地法人も3年目になり運営も軌道に乗ってきたので、仕事量はまだまだ増やせると考えている。
 
 ――マイナンバー制度の導入で収集代行は増えていますか。
 
 熊谷 マイナンバー収集を自社で実施している企業は、人手不足などによってアウトソーシング化の方向に進むと思う。照合する手間がかかり年末調整が迫ってくる今年の夏場にはかなりの企業がマイナンバー収集をアウトソース化すると見ている。当社は、マイナンバーをフックにして成長していく考えだ。既に給与計算を受注している企業のマイナンバーの保管は無料で対応している。
 
 ――同業者との競争が激しくなりそうですね。
 
 熊谷 同業者は人手不足などで伸び悩んでいる企業もあるが、当社は札幌と中国・青島の二元体制をとっているので受注を増やしても勝負ができる環境だ。給与計算などアウトソーシング専業の企業で海外に拠点を持っているのは当社だけ。そのポテンシャルを活かしていく。
 
 ――当面の成長目標は?
 
 熊谷 当社の受注先は、レストラン・カフェで東証1部のひらまつなど上場企業から従業員50人以下の中小企業まで約650社で、業界の中でも社数は最も多くそれが強みになっている。2年以内に社数で1000社、処理人数で10万人(現在は約7万人)を達成する。
  
 ――受注先の地域分布はどうなっていますか。
 
 熊谷 売上高の9割は道外で東京が最も多い。この傾向は今後も続くが、道内企業のアウトソーシングに対する意識は東京以外の地域と変わらない。道内企業の受注を増やしていくことに変わりはない。
 
 ――今年が節目の年になるということですが、あらためて決意を聞かせてください。
 
 熊谷 札証アンビシャスに上場して10年、会社設立から20年目に入る。私が社長に就いて13年目になるが、マイナンバーを勝機に市場のステップアップを考えている。
【くまがい・こうじ】1971年4月10日生まれ、名古屋市出身。一橋大卒、95年4月さくら銀行(現三井住友銀行)入行。2004年2月エコミック入社、取締役管理部長就任。同年6月社長就任。
※2016年4月7日記事一部修正

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER