7月の参院選道選挙区でみんなの党から出馬して落選した中川賢一さん(43)が、みんなの党を離党したが、その裏には参院選で共に戦った自民党参議の長谷川岳さん(39)や自民党衆議(道7区)伊東良孝さん(62)の説得工作があったという。みんなの党は中川さんを軸に道内の統一地方選で党勢拡大を目指していたが、看板を失ったことで戦略の練り直しが早急に求められることになった。
7月の参院選で中川さんは約32万票を獲得し、みんなの党に対する有権者の期待の高さを窺わせた。全国的には改選前は1議席だったが、選挙区では3人、比例で7議席を確保、非改選の川田龍平さんを含めて参院で11議席となって公明の19議席に続く第4勢力として存在力を示した。
落選したものの、中川さんは衆院選道5区の補欠選挙への出馬が取り沙汰されたり、知事選への出馬も噂されるなど、みんなの党の北の看板として期待を集めていた。
中川さんは、みんなの党の道内7支部の連絡組織である「北海道連絡会議」の代表を務め、今年4月に行われる統一地方選挙では道議と各市議の候補として30人から50人の候補擁立作業を進めていた。
その最中での離党に、みんなの党代表の渡辺喜美さんをはじめ関係者の怒りは大きい。
中川さんは、離党の理由としてTPP(環太平洋経済連携協定)に対するみんなの党との考え方が違うことを挙げている。みんなの党はTPPに積極参加だが、中川さんは国内農業対策を優先させるべきだという考え。また、脱官僚を強く掲げる政策にも違和感を抱いていたという。
そうした中川さんの思いを感じ取ったのが自民党国会議員たち。
事情通によるとも、「長谷川岳参議と伊東良孝衆議の説得工作が大きかったようだ。また、丸岩公充道議も説得に加わったようだ。道内選出の民主党国会議員とは札幌南高OBとして国家戦略相を務めた道3区の荒井聡衆議や5区補欠選挙で落選した中前茂之さんなどとのつながりもあったが、最終的には自民党入りを含んだ離党になった」と言う。
中川さんは、早い時期に予想される総選挙では道1区から無所属で出馬する見通し。横路孝弘衆院議長は今期限りで勇退するのが確実なため、民主党新人との対決になれば、中川さんの当選確率は高まる。