コープさっぽろVS.フクハラ「札内の変」本番突入

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コープさっぽろは、11月26日に幕別町札内に札内店をオープンさせた。十勝国道と呼ばれる38号線を挟んで南側にはフクハラの食品スーパーがある。立地を巡って双方にシコリを残した“札内の変”の発火点であり、文字通り38度線を挟んだ南北対決になる。


2000年以降、札内は第一次スーパー戦争が起こった地域。当時は、フクハラとオーケー、それにダイイチが札内の狭い範囲に進出、パイを取り合う帯広3スーパー対決が繰り広げられた。結果、フクハラと隣接していたオーケーが撤退し、第一次スーパー戦争は終結した。
小康状態を保っていたところに異変が起きる。オーケーの跡地をコープさっぽろが進出を窺って接触を始めたのだ。
それを察知したフクハラは、素早くオーケー跡地を取得、コープの進出を封じ込めた。当時、食品スーパー同士の仁義なき戦いと言われたが、仁義がなかったのはコープが手をつけた土地を取得したフクハラなのか、フクハラの目の前に出ようとしたコープなのか、見方は分かれる。
この時点で守勢に立たされたコープは、札内進出が赤穂浪士ならぬ恨みを晴らす討ち入りの現場となった。
国道38号線の南側に集中していた商業集積に対して豊町など北側の住民からは店舗を誘致する動きもあり、コープはその流れに乗って地域住民3000人もの署名を集めたという。
進出までに既に物語が始まっていた札内店を、コープは環境に配慮したエコ店舗として仕上げた。消費者に価格だけではない来店誘導の付加価値を店舗そのものに持たせ、物語を先に進めていこうという訳だ。
屋根に設置したソーラーパネル、冷凍・冷蔵のショーケースにはCO2を冷媒に使ったシステム、店内の木製什器には道産カラマツの間伐剤、さらにカートは廃棄後に再利用できるアルミ製を採用した。また、地中熱を利用した冷暖房システムも活用している。
環境に配慮したエコ店舗としては札幌市西区に10月オープンした西宮の沢店に続く2店舗目。ただ、西宮の沢店は木造だが、札内店は従来どおりの作り。
売場面積は約3200㎡でそのうち食品スーパー部分は約1800㎡。コープが展開している“おいしい店”の標準店舗(売場面積約1800㎡)と同じ規模。年商は18億円を予定している。
コープさっぽろとしては十勝圏で3店目。統合前にコープ十勝が展開していたベルデ店とコープさっぽろが出店した柏店があり、統合後は初の出店になる。
コープさっぽろによると、「十勝圏内出は、まだ3~4店は出店できる」としているが、札内でのフクハラ、ダイイチとの戦いはコープさっぽろが十勝で存在感を示せるかどうかが試されている。勝ち鬨をあげるための本番はこれからだ。
コープさっぽろとフクハラの“札内の変”は、根室管内別海町にも飛び火。フクハラが先行出店した後を受けて、コープさっぽろも出店、“別海戦争”を繰り広げている。恨みは深いようだ。
(写真は、コープさっぽろ札内店とフクハラ札内店)

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