ヨドバシの旧札幌西武買収にセブン&アイが難色か

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昨年の9月末に閉鎖したJR札幌駅前の旧札幌西武を家電量販店のヨドバシカメラが買収交渉を進めている問題で、建物を所有しているセブン&アイ・ホールディングスが売却に難色を示している。金額面の問題ではないとされ、白紙に戻る可能性もありそうだ。

ヨドバシが旧札幌西武の買収に名乗りを上げたのは今年の10月初旬。ヨドバシは現在、札幌駅北口に売場面積約1万㎡の「マルチメディア札幌」を展開している。

札幌駅周辺には、ヨドバシのほか、旧札幌そごう跡の札幌ターミナルビルにビッグカメラがあり、道内で最大の乗降客を持つJR札幌駅に至近の距離ということもあって、室蘭や旭川、帯広からも集客している。

ヨドバシは、現在の店舗が手狭になっており、拡張する必要に迫られているが、現在地では拡張する余地がないため、旧札幌西武の土地建物を取得して解体、新たな建物を建設して売場面積を3倍に広げたい意向。

旧札幌西武を巡っては、百貨店の高島屋や北1西9のSTV本社横にあるヤマダ電機の移転も検討されたが白紙に戻っている。

札幌市は、旧札幌西武の跡地活用について、周辺の地権者とともに活用策を検討する組織を作っており、札幌駅前に相応しい活用へ誘導する考えを持っている。

札幌駅前通では、来年3月12日に駅前地下通路が完成するほか、三井札幌ビルや石屋製菓・秋田銀行ビルの建設が予定されるなど、札幌市は駅前通を道都の顔に相応しいストリートにしたい意向が強い。このため、公開空地を多く取る代わりに容積率を緩和するなどインセンティブ(優遇策)を整えて開発を誘引してきた。

旧札幌西武は元五番舘西武として親しまれた建物で、建設時には札幌市の意向を取り込んで意匠性に富んだ姿になったという。

家電量販店は、販売効率から売場はスクエア(正方形)タイプが理想的とされ、ヨドバシもその方向で建て替えを進める意向と見られているが、その場合も札幌市との調整は避けて通れない。

ヨドバシは、旧札幌西武を所有するセブン&アイに買収額として80億円~100億円を打診している模様だが、まだ正式に買い付けには至っていない。セブン&アイは「金額の問題ではない」として売却に積極的ではないようだ。

ただ、セブン&アイは年内に売却したい意向は持っているようで、ヨドバシ以外に買い手が現れなければ決断する可能性も残されている。

ヨドバシは、出店に関してすべて社長決済のため社長の意向が最優先されるという。旧札幌西武の売買を巡る問題は、ヨドバシと札幌市の距離が縮まるかどうかが鍵を握ることになりそうだ。
(写真は、昨年9月の閉店セールを行っていたころの札幌西武)

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